上海電力が買った青森県の広大な土地

23年春、中国人女性が沖縄県島尻郡の無人島、屋那覇島を買い取っていたことが判明した。沖縄の自衛隊や米軍基地から遠くない島を中国人が買い上げることを、日本の法律は許しているのだ。

それから間もなく日本のエネルギー・安全保障上非常に重要な施設が集っている青森県で上海電力が広大な土地を買っていたことが明らかになった。この事案を暴いたのは加藤康子氏だ。氏は「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録を実現した人物だ。氏が語った。

「原子力燃料再処理施設のある六ヶ所村の属する上北郡の隣がむつ市です。むつ市では使用済み核燃料の中間貯蔵施設を建設中です。ところがこの施設のまん前の広大な土地が上海電力に買われていたのです」

釜臥山から見たむつ市街。青森県むつ市で中国企業の上海電力が広大な土地を買っていた(写真=Snap55/CC-BY-3.0/Wikimedia Commons

中間貯蔵施設の前の広大な原野は日本人女性の名前で登記されているが、この土地での事業の申請と認可はSMW東北という合同会社名でなされている。合同会社は複数の会社がかかわっており、実態把握が難しい。しかしSMW東北社を辿っていくと、所在地は上海電力の住所に行きつく。彼らはここで風力発電事業を行うことに、書類上はなっている。

国民の支払う電気料金が中国企業を潤す

風力であれ、太陽光であれ、再生エネルギー事業は固定価格買い取り制度(FIT)で守られている。一旦認可を得れば生み出した産業用電力は比較的高く設定された固定価格で20年間ずっと買いとってもらえる。旨味のある商売だ。買い取るのは電力会社だが、そのコストは各家庭の電気料金に再生エネルギーのための賦課金として上乗せされ、全てが国民負担となる。

青森県むつ市の事案では、もし上海電力がここで風力発電事業を始めれば、発電した分は全て東北電力が買い取らなければならず、その料金は全て消費者の国民が支払うことになる。

ここでもうひとつ大事なことを忘れてはならない。電気料金は全て上海電力の懐に入るということだ。つまりFITを利用した再生エネルギー事業では、私たち国民の支払う電気料金がそのまま中国企業を潤す仕組みになっているのである。