会話のキャッチボールがうまくいくコツ

自分の意見を伝えたあとで、「皆さんはどう思いますか?」というひと言を入れるのは、自分と相手との「会話」と「会話」に「橋」をかけるようなものです。

この「会話の橋」をかけないと、話がぷっつりとそこで終わってしまいます。

私は、いわゆる昭和型のトップダウンの会社で働いてきた経験が豊富です。

そんな職場では、会議の席で社長や部長などの上級管理職の方が、ワンマンショーさながらに自分の考えをノンストップでしゃべったあげく、社員にダメ出しします。そして最後に「こうしろ!」と命令する。そんな場面に嫌というほど立ち会ってきました。先ほどの「会話に橋をかける」というコンセプトのかけらもない職場の典型です。

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こんな環境では、一般社員は沈黙するしかありません。

自分の意見を押しとおすだけの社長や上級管理職の姿を見ても、社員は「ウチの社長は頼もしい」「社員を引っ張ってくれている」とは決して感じません。逆に、言いたいことが言えない不満がくすぶる可能性がとても高い。

つまり、社員のエンゲージメント(会社に対する愛着心)が薄れていき、仕事に対する満足度が低下していく原因になるのです。

ですから、たとえ社長であっても、共創型の組織づくりをして、モチベーションが高いスタッフと一緒に働きたければ、自分の意見を言ったあとで、「私の考えはこうなのだけれど、私が気づいていないことや、新たな切り口のアイデアなど、どんなことでもいいので教えてほしい」というように、「会話の橋」をかけてほしいのです。

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これはなにも、社長や上級管理職の方に限ったことではありません。これから課長やリーダーを目指す皆さんも、ひとつの嗜みとして身につけておいてほしいことです。

「会話の橋」をかけて、周りの協力者の心を摑む練習をぜひ重ねてください。

自分の意見を言ったあとで、「皆さんはどう思いますか?」などと「会話の橋」をもしかけなかった場合、何が起きるでしょうか?

相手は自分から「つまり、それってどういうことですか? もう少し詳しく教えてください」と疑問をはさんだり、「言いたいことはわかりましたけれど、○○という観点が抜けているように思います」と反論したりしなければなりません。

特に上下関係が決められた会社組織の場合は、下位者が上位者に向けてこうした発言をするのは、通常、高い緊張感が伴うものです。そんな負担を下位者に求めていては、チーム全体の心理的安全性はとても向上しません。こうした負担を下位者にかけないよう、リーダーの役割を担う人の心遣いがとても大切になってきます。

リーダーの側から「会話の橋」をかけていくことで、不安や緊張感が伴わない「会話のキャッチボール」を始めることができるのです。