「仕返し」を目的とする横付けは違法行為に

3.無断駐車された車両に、自分の車を横付けして出られないようにするのはOK?

レッカー移動がダメなら、無断駐車の「仕返し」に、自分の車を横付けして出られないようにするのはどうでしょうか?

たとえば住居の私有地に無断駐車されているケースで、その場所でなければ自分の車を敷地内に停められない場合には、無断駐車車両に横付けすることもやむを得ません。

仮に「仕返し」の目的があったとしても、その場所に停めざるを得ないのですから、正当な私有地の利用行為であると認められる可能性が高いでしょう。

その一方で、「仕返し」の目的しかない場合には、正当な理由がない自力救済として違法と判断されるおそれがあります。

たとえば駐車場において、通常は車を停めない場所に不自然な形で横付けした場合には、「仕返し」の目的しかないと判断される可能性が高いでしょう。この場合、無断駐車をした人から、逆に損害賠償を請求されるおそれがあります。

また、無断駐車をするような人は、横付けされた状態でも強引に車を出そうとするかもしれません。その場合、自分の車が壊れてしまう可能性があります。

無断駐車車両の運転者に対して、壊れた車の修理費などの損害賠償を請求することは可能です。しかし、損害賠償請求には手間がかかる上に、無保険の場合は回収できない場合もあります。

「仕返し」の目的で無断駐車車両に自分の車を横付けすることは、余計なトラブルを招く原因になりかねないので避けるべきでしょう。

写真=iStock.com/Dumitru Ochievschi
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そもそも無断駐車をさせない予防が一番

4.無断駐車への有効な対策は?

犯罪に当たるケースを除き、無断駐車に対する有効な対策に乏しい現状は、現在の法制度の限界を示しています。自力救済を原則禁止し、司法制度を実効化する観点からそうならざるを得ない部分があるため、短期間のうちに法整備が行われることは期待しにくいでしょう。

無断駐車に対抗するためには、そもそも無断駐車をさせないための予防策が重要です。具体的には、防犯カメラやロック板を設置するなどの対応が考えられます。

なお、無断駐車の予防策として「無断駐車は金○万円申し受けます」などと書かれた看板を設置している駐車場をよく見かけますが、法的な有効性には疑問があるところです。無断駐車をした人に請求できる損害賠償の金額は、実際の損害額に沿って算定されると考えられます。無断駐車による実際の損害額は、たとえば近隣のコインパーキングの料金や、無断駐車していた時間などを考慮して算出することになるでしょう。

万が一無断駐車をされてしまったら、正当な手段で根気強く対応するほかありません。

警告書によって速やかに退去するよう求める、ナンバープレートを手掛かりに身元を突き止めて連絡するなどの方法が考えられます。どうしても解決できない場合には、訴訟の提起も検討しましょう。

レッカー移動や自分の車の横付けなどは、そうしたくなる気持ちは分かりますが、リスクの高い行為であるため避けましょう。

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