民事訴訟は時間も費用もかかる

2-2.自発的にどかしてもらえれば早いが……

無断駐車車両が自発的にいなくなれば、無断駐車が再度行われないように何らかの対策を講じることができます。退去を求める警告書などを張っておけば、数日以内に退去するケースも多いです。

しかし月極駐車場などでは、長期間にわたって無断駐車車両が放置されるケースもあります。

その駐車スペースの契約者に迷惑がかかりますし、契約者がいない場合でも、本来であれば貸し出せるはずの駐車スペースを貸し出すことができません。

ナンバープレートなどから無断駐車車両の所有者を特定して連絡しても、全く返信がないということもあり得ます。この場合は、訴訟などの法的手続きをとるほかありません。

判決が確定しても強制執行の申し立てが必要

2-3.正式な裁判手続きは大変:時間もかかる

無断駐車車両の退去を求める際には、最終的に民事訴訟を提起することになります。

民事訴訟では、裁判所に証拠書類を提出して、無断駐車によって土地の所有権が妨害されていることを立証しなければなりません。

民事訴訟のルールに則って書類を作成・提出することは、それだけでも大変な作業です。弁護士に依頼する場合は、弁護士費用もかかります。

また、民事訴訟は時間がかかることも難点の一つです。無断駐車に関する訴訟が複雑にこじれるケースはまれですが(無断駐車が違法であることは明らかなため)、それでも判決が確定するまでには数カ月を要します。

さらに民事訴訟の判決が確定しても、実際に無断駐車車両をどかすためには、裁判所に強制執行を申し立てる必要があります。強制執行の申立てには費用がかかりますし、時間もさらに長引いてしまいます。

このように、大変な思いをして裁判手続きを利用することについて、私有地所有者の方が尻込みしてしまうのは当然でしょう。