制作意図は6パターンに分類できる

よくある制作意図は主に6パターンに分類され、これらの定型パターンを知っておくことで予測を立てやすくなります。

・メリハリを生むため:文字の一部のみ色やサイズを変えるなど
・統一感を生むため:同じ要素を繰り返す、揃えるなど
・コンセプトを表現するため:メッセージと一致した配色にするなど
・可読性を上げるため:文字の後ろに帯を入れる、余白を広くとるなど
・分かりやすくするため:ボタンの部分にアクセントカラーを使うなど
・リッチなイメージを演出するため:背景にイラストの装飾を加えるなど

もちろん、上記に該当しない制作意図も存在します。

デザインの掲載場所・目的・ターゲットを考える、文字情報や運営会社の公式サイトからコンセプトを読み取る、要素単体ではなく複数の要素を比較して要素同士の関係性を見出す、などあらゆる視点から考察してみてください。

デザイン研究所『デザインのミカタ 無限の「ひきだし」と「センス」を手に入れる』(KADOKAWA)

また、「もしそのデザインテクニックを使わなかったら?」と仮定して比較してみると言語化しやすくなるはずです。

上記のポスターに使われている文字が明朝体ではなくゴシック体だったら? と想像してみましょう。「少しチープな印象になるかも」と感じたら、「フォーマルな印象にしたいから明朝体を使っているのだな」と予想できます。

導き出したデザインの意図や根拠は必ずしも正解でなくても構いません。「見る力」と「言語化する力」は、デザインの中に隠れている要素を見つけ、予測する過程で育まれます。

デザイナーだけに見えている世界

「見る力」と「言語化する力」を手に入れると、何気ない景色もデザインに溢れた刺激的な世界に変化します。

例えば電車に揺られているときも、意識的に観察してみると、「統一感を出すために写真と図形の色を揃えているのかな」「文字に光彩をつけると実線よりポップになりすぎず可読性が上がるかも」など、さまざまな情報を読み取れるはずです。

身の回りのデザインを観察するうえで、歴史や雑学、マーケティングや企画といった一見デザインに関係のなさそうな知識が役立つ場合もあります。「見る力」と「言語化する力」を身につけると同時に、幅広い知識をインプットし、デザインに結びつけることが大切です。

これまではただ眺めるだけだった景色をトレーニングの場として活用することで、デザインの知識を効率的に身につけられます。プロの見方・考え方を真似して、デザインセンスを磨きましょう。

(編集協力=榎谷ゆきの)
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