日本はまだまだ財政拡大できる

政府支出の制約となるのは「インフレ」であり、今世界中がインフレで苦しんでいるのは、コロナ禍で各国が政府支出を拡大したことも一因である。

日本でも物価上昇率が上がっているが、円安・原油高によるコストプッシュ型のインフレであり、原油価格の下落にともなって国内のインフレは落ち着いてきている。

日銀が金融緩和を続けていても、コロナ禍で約80兆円もの財政赤字をばらまいても、諸外国のようなインフレは起こらない。それが日本経済の現状だ。

だから増税をしてまで財政を立て直す必要は全くないどころか、日本経済にとって有害だ。

安倍元首相が語った「財務省の策略」

私が知る限り、もともと岸田首相は増税派というわけではなかった。むしろ首相になってから、財務省に食い込まれたとみるほうが正しいだろう。

直接その光景を見たわけではないが、財務省の人間が朝から晩まで岸田首相のもとを訪れ、「日本のために国民から嫌われる政策が必要なんです。できるのはあなたしかいません」と説得され、「洗脳」されてしまうのだろう。

写真=iStock.com/SvetaZi
岸田首相は財務省に洗脳されてしまった(※写真はイメージです)

安倍元首相が『安倍晋三 回顧録』(中央公論新社)の中で、「森友問題」について「私の足を掬うための財務省の策略の可能性がゼロではない」と述べている箇所がある。

安倍元首相は第2次安倍政権以降、財務省を遠ざけて、日銀による金融緩和とともに財政出動を行い、消費税引き上げを見送ろうとしていた。

だが、「森友問題」が浮上し、政権転覆を恐れた安倍元首相は消費税の引き上げを余儀なくされたのである。