リサーチは、店主の人生を背負っている

このように私の見立てが間違うこともあります。でも嬉しい誤算ならよしとします。ただ、その逆になるのは困ります。私たちの加盟店さんは、家業として営んでくださる方が多いのです。ワークマン全店のうちおよそ半分は、そのお子さんがお店を引き継いでいます。そしていずれその半分がさらにご家族に引き継がれるでしょう。

つまり私たちは、数十年間のお付き合いになることを前提に加盟店を選ぶのです。選んだからには、そのご家庭が長らく暮らしていけるお店にする責務が私たちにはあります。ご家族の人生を背負っているとの思いがあればこその真剣な旅なのです。

こうして毎週出かけていられるのも現場を担当者に任せているからです。私は原則、社外の人には会いません。出店の際も、私が交渉に参加することはありません。すべて現場の担当者に任せています。儀礼の挨拶なども受けませんし、こちらからもお願いしません。

ですから起きている時間の100%が、自分の時間です。朝2時半に起きる生活ができるのも、夜の付き合いがないからです。商社に勤めていた頃には、考えられない生活です。

当社の社長は、「100年の競争優位だけ考えてくれればいい」と言っています。商社マン時代には時計の秒針を見ながら仕事をしていた私ですが、今は年間カレンダーを見ながら、路線バスの旅を続けています。

(構成=大島七々三)
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