地元の名物を食べ、城にも上る
立地条件や交通事情に加えて重要なのがグルメです。土地の名物は必ず食べますし、名店と言われる店には立ち寄ります。特に重要なのが地元のスーパーやショッピングモールです。必ずのぞいて、客層や品ぞろえをチェックします。
客層はファミリー層がいるかどうかを見ます。高齢者ばかりでは将来の成長が見えづらいですから。スーパーでは「地のもの」を置いてあるかどうかがポイントです。そういうスーパーには人が集まります。その分、来店客が見込めるのです。
じつは「#ワークマン女子」の場合、お客さんのほとんどが、「ついで買い」です。「ワークマン」や「ワークマンプラス」だと、お客さんは男性ですから、お店を目的に来てくれますが、女性は忙しいので“ついで”がないと店に来てくれません。
ですから近くに人気のパスタ屋さんがあるとか、品ぞろえのいいスーパーがあることはとても重要なのです。
地域にお城があれば、お金を払って上ります。お城は眺めのよい場所に建っていますから、上れば町が見渡せます。つまり商圏が一望できるのです。福井では国宝の丸岡城に上りましたし、高知では高知城にも上りました。
お城がないところでは、山に上ることもあります。先日、近くに山があったので、100メートルほど上りました。健康のためにも歩くことは厭いません。1日8キロメートルまでは歩けます。ですから荷物は最小限に留めます。持ち物は下着の替えくらい。それも1泊分です。
予定外に2泊以上になったら、宿で洗濯します。傘も持ちません。私はふだんから雨靴をはいて仕事をしています。ズボンも上着も、合羽の防水素材でできた服です。全部ワークマンの製品です。鞄ごと覆えるタイプのものなので、台風の時以外、雨は気にせずにすみます。
とはいえ気温が30度を超えると、その服では暑くて耐えられないので、着ていく服は慎重に選びます。出発までに5回は現地の気候を調べています。
メモ帳も持ち歩きません。動いている間、メモはとらないからです。視察を終えた後、自分が回った場所をGoogleマップで見返すことで記憶に定着させます。私の視察にはGoogleマップの予習と復習が欠かせないのです。
経験や知見を超える、プラスの結果が出ることも
こうして自分の行動を振り返ると、極めて遊びに近いですね。しかし現地の空気を感じるとは、こういうことです。こういう動きは、若手には難しいようで、開発担当者が視察に行くと、賑やかなスポットしか見てきません。それで出店の判断を誤ることもあります。
ところが、時には経験や知見を超える結果が出ることがあります。先日、北海道の釧路にある加盟店を訪ねると、裏側に野生の鹿がいるような原野が広がっていました。よくもまあ、こんなところに出店を決めたなと驚きました。私が出店前に視察したとき、難しいだろうというレポートを書いた土地です。
しかしその釧路のお店は、北海道でもダントツの売り上げを誇る店になりました。店舗からそこそこの距離はありますが、北海道でも有数の工業地帯があり、そこから注文が入るようになったようです。
福井で丸岡城の上から町を見たときは、平屋の家ばかりで、2階建てより高い建築物が見当たりませんでした。ここも難しいだろうという弱気のレポートを書いて提出したのですが、結局出店が決まり、今は福井でナンバーワンの店になりました。