オープン半年後、「ドロシーズ」大丸大阪心斎橋店は同ブランドで全国2位の売り上げを達成した。オープニング当初は1日の総売り上げが5万円という散々な時期もあったが、いまでは月平均700万円。年商1億円も見えてきた。(※雑誌掲載当時)

西村さんは休日、トップブランドからユニクロまであらゆる店を巡っては接客テクニックを観察する。売れる店には必ず優秀な販売戦略がある。「たとえば渋谷の109。彼女たちはああ見えてただのギャルじゃありません」。タメ口、友達感覚の接客。計算しつくされた店員の配置と動線。売り上げ下位のブランドは容赦なく撤退させられる環境で働くギャルたちの強いプロ意識から学ぶべき点は多い。

学んだ販売テクは大丸カードの勧誘にも発揮される。当初は「500円かかるけどお得なカードです」と説明していたが、それではお客は一様に「じゃあいいです」と断った。そこで彼女は、やり方を変えた。まずカードをまだ持っていないお客には「え、持ってらっしゃらないんですか?」と純粋に心配した顔をする。次に「すっごいお得なカードなんですよ!」と特典を説明する。そして最後に「500円だけかかるんです」とサラリと付け加えるのだ。

そんな彼女の目標は「今年中に月1000万円売り上げる!」。

「まだまだいけるし、いかなきゃいけない」と目を輝かせる彼女の夢は、放っておいてもレジに行列ができるほど「ドロシーズ」の名が誰もが知るブランドになること。

大阪での成功を受け「うふふガールズ」は2010年4月に大丸京都店をオープンした。

「決めトーク」は
「断然こちらのほうがお似合いです・使えます」。押し売りはしないが、最後に迷っているお客様の背中を押すのも販売員の仕事。ただし、それまでにその人の好みや手持ちのアイテムを十分聞きだしておくこと。思ってもいない「お似合いです」は厳禁。

自己啓発の仕方
休日はジムで体を鍛える。1日中立ちっぱなしなので肩や腰を痛めることもあるし、体力がないと疲れが顔に出て良い接客ができないから。

優先順位のつけ方
どんなに忙しくても「笑顔&声掛け」が最優先。必死さが漂う店では誰も買い物はしたがらない。

服装、化粧の仕方
靴以外はすべて「ドロシーズ」の商品を身につける規則。大好きだから苦にはならない。

記憶に残る失敗談
釣り銭を間違える・靴の左右のサイズを間違えて箱に入れる・取り寄せた商品を放置……、入社時からの失敗談は限りない。

※すべて雑誌掲載当時

(熊谷武二=撮影)
関連記事
上位0.04%! 元CAの「セレブ流接客」 -女性トップセールス11人の「奥の手」見せます【3】ユニクロ
「4万円ジーンズ」年5万本販売のなにわ妻
なぜ、試着できないゾゾタウンで服が売れるか
10億円売り場つくった「おんな心の掴み方」
「女性だけの職場」は女性リーダーを育てるか?【1】