自国の歴史を知らなすぎる日本人

そもそも明治維新は、世界でもかなり稀有な革命です。海外の革命によくあるような時の権力者の命を奪うという形ではなく、強烈な自浄作用というか、自分で自分を食べて生まれ変わるような形で政治体制の変革がなされたわけです。海外の人にはイメージがつきにくく、わかりやすく説明するのは至難の業です。

新政府軍と旧幕府軍との最後の戦闘となった箱館戦争を描いた錦絵、「箱館大戦争之図」。永嶌孟斎画、1880年ごろ。(画像=『筆と刀、日本の中のもうひとつのフランス1872-1960』/PD-Art/Wikimedia Commons

そう考えると、最低限の知識を学んでおかないと、海外で日本について教えることもできず、「自分の国のことも知らないの?」と軽蔑される可能性が高いです。

日本ではよく、外国の人に対して「歴史認識の違い」という言葉を使うことがあります。もちろん歴史を十分に知った上で指摘している人もいるのでしょうが、他国と比較して日本人が歴史に詳しいかというと、そんなことはありません。

むしろ日本人が自国の歴史に疎すぎるせいで、海外の人のほうが日本の歴史を知っているという逆転現象も起きているくらいです。

世界ではいろいろなことが「3大○○」という括りで紹介されていますが、「世界三大古戦場」には、関ヶ原の戦いの「関ヶ原」がランクインしています。あれだけ狭い場所に約17万の軍勢が集まったのは世界史的に稀有な出来事であり、海外では軍関係者を中心に関ヶ原の戦いを学んでいる人が少なくないのです。

「関ヶ原の戦いは特異な戦いだと思うけれど、君はどう考えているの?」。海外の人からこんな質問をされたとしたら、あなたはどう答えるでしょうか。「答えられないのは日本人として恥ずかしい」とまでは言いませんが、歴史小説をある程度読んでいれば、それなりに自説を主張できるはずです。