日産の不確定要素はむしろ増えている

懸念されるのは、ここから先、世界経済の不安定感が高まりやすくなることである。今のところ米国経済は家計の過剰貯蓄などに支えられているが、貯蓄は徐々に減少する。米国の金融引き締めも長期化する公算が大きい。米国の個人消費は徐々に減少し、労働市場の改善ペースも鈍化するだろう。それに伴い自動車の需要も伸び悩む。

中国の本格的な景気回復には時間がかかりそうだ。自動車市場で低価格競争は熾烈化するだろう。中国の需要を取り込んできた欧州やわが国の景気は周回遅れ気味で減速に向かいそうだ。

そうした展開が予想される中、日産が新しい供給網を確立し、迅速に収益の得られる領域を拡充することは口で言うほど容易なことではない。ルノーとの対等な関係が実現したことは日産にとって重要な一歩だが、先行きの不確定要素はむしろ増えていると考えられる。

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