生活が一変するようなデバイスが誕生するか
取り組みには相応のリスクが伴う。何が消費者に受け入れられるか、デザイン、機能などを具体化して言語に落とし込み、従業員、株主などのステークホルダーの納得と賛同を得ることは容易ではない。発表したものが、期待外れに終わる恐れもある。
そうしたリスクを認識しつつも、経営陣は金融ビジネスの分離によって、ソニーの、ソニーたるゆえんはモノづくりにあり、という価値観を組織全体で醸成しようとしている。歴史を振り返っても、同社の強みは、誰もが思いもしなかったデバイスを世に送り出し、生活様式を一変させることにあった。
口で言うほど容易なことではないが、経営陣は諦めることなく世界の消費者の声に耳を傾け、思わず手にとってしまうようなモノの実現に徹底して取り組まなければならない。どのようにそうした組織体制を確立して成果を世に示し、世界的ヒットにつなげるか。国内外でソニーの事業戦略への注目は増え始めるだろう。