その場で即答せず持ち帰る

それでも頼まれてしまったときは、どうやって断ればよいのでしょうか。

断るときの大原則は、「その場で即答しない」ことです。うそでもいいので「いったん予定を確認して、折り返します」と、ひと呼吸置くようにしましょう。

断るのが苦手な人は、たいてい即答しています。冒頭でお伝えした「嫌われたくない」「能力が低いと思われたくない」「がっかりさせたくない」といった理由から「やります、大丈夫です」と、すぐにOKする傾向があるのです。

これまで断り慣れていない人が、その場ですぐに断るのは難しいので、まずは即答を避けて、時間の猶予をつくります。

そして、次の3ステップに沿って回答を構成します。

ステップ1:今の状況(断る理由)を伝える

断るときは、やはり理由が必要です。理由を言わず「今はお引き受けできません」とだけ伝えて断ることができる人はそれでもいいですが、断るのが苦手な人にとってはかなりハードルが高いでしょう。理由を言った方が断りやすいはずです。

何がどう大変なのかを、ありのまま伝えましょう。たとえば「今はAさんの案件に追われていて時間が取れないので、お手伝いできません」「金曜日締め切りの仕事が重なっていて、これ以上仕事を引き受けてしまうと間に合わなくなりそうなので」などです。

理由が複雑で説明が面倒、複数の理由があって伝えにくい、頼まれた仕事がややこしそうで受けたくない、体が疲れているので引き受けたくない、などの場合は、あまり正直に伝える必要はないと思います。うそも方便で、相手に納得してもらえそうな理由を説明すればよいと思います。たとえば休日出勤を頼まれたら「週末は先約が入っていまして」と返すのも良いと思います。

ステップ2:「引き受けられず申し訳ない」という気持ちを伝える

相手との関係性を崩さないためにも、「本当は引き受けたいのですが」「ほかの仕事と同時進行できればよかったのですが」と、「引き受けたいのだができない」という残念な気持ちを伝えます。そのうえで、相手の期待にこたえられないことに対して「ご期待に沿えず申し訳ありません」と謝罪します。