なぜトップバリュには製造業者名がないのか

小売り各社が新たにPBをつくりはじめるとき、ブランドが世間に定着するまでは、メーカーのNBブランドとPBブランドを併記する「ダブルチョップ」方式がとられることが多い。NBのブランド力を借りて、商品の信頼性を消費者にアピールするという狙いによるものだ。

今年4月、愛知県に本社を置くユニーグループが発売したPB「UUCS」もこの形態をとっており、基本的にはNBと同じパッケージを使用している。一例を挙げれば「スコッティ」とのダブルチョップ、カシミアティッシュがある。見た目はNBと何ら変わりはなく、ロゴも「SCOTTIE」と入っているが、よく見ると、「UUCS」のロゴが添えられているという具合だ。

ブランド力がつき、自社PBの名前で独り立ちできるようになると、NBのロゴをはずしオリジナルパッケージを使用するようになる。ちなみにPBはいずれも簡素なパッケージ。ここでもコスト削減を追求している。

イオンのPB「トップバリュ」のお茶(78円、(1))とセブン&アイHDのPB「セブンプレミアム」の緑茶(88円、(2))。(1)にはメーカー名の表示がない。対して(2)では販売者名、共同開発商品であることを明記。「問い合わせ先はメーカーにしたほうが楽ですが、それでは都合のいい情報しか入ってこない」(イオントップバリュの堀井氏)。

この段階のものでも、製造者名の欄にメーカー名が記載されているものが多い。セブン&アイのPB「セブンプレミアム」も同様だ。「セブンのものなら何でもおいしいはず」というのはプレジデントの若手男性編集者だが、このような“セブンファン”も多く、味に対する信頼度はPBブランドのなかでも高い。セブン&アイのブランド力で消費者を集めつつ、商品に関する問い合わせ等においては、商品知識や経験の豊富なメーカーのノウハウとサポート体制を活用している。