「PB開発は、まず売価設定ありきです。『安さ』には、相対的な安さと、絶対的な安さがあると思っています。隣の店と比べたら安いね、というのでなく、誰が見ても安いと思える価格、『この値段だったら絶対買いたい』とお客さんが思う“絶対的”に安い価格を最初に考え、『この値段で売れる商品をつくってくれ』とメーカーに言う。価格に見合う原価、品質、そして味を、後から決めていくのです」(神戸氏)

PB開発において、小売りが組む相手はトップメーカーではなく2、3番手のメーカーである場合が多い。トップメーカーは、基本的には自社NBと競合するようなPBをつくりたがらないからだ。

2番手、3番手であれば、彼らと組むことによって棚の面積を増やし、トップシェアに立てる可能性もある。実際、CGCがニッスイと組んで開発したPB「おさかなソーセージ」を07年8月、「今月の一品」として宣伝したところ、消費者の健康志向にマッチし、爆発的にヒット。ニッスイの工場を半月以上貸し切っても生産が追いつかないほどだったという。その結果、同年9月ニッスイはそれまでトップだったマルハを抜き、魚肉ソーセージカテゴリーのメーカーシェアで、全国ナンバーワンとなった。

しかしトップメーカーがPBを受注するという、以前では考えられなかった事態も起きている。トップメーカーにとっても、PBのロットは無視できない大きさなのだ。CGCでは日清食品が製造するPBカップ麺が、平均98円(注:CGCのようなボランタリーチェーンでは、価格決定権は各加盟店企業にある)で販売されている。日清食品関係者によれば、08年1月に17年ぶりに行われたカップヌードルの値上げは予想以上に客離れを起こしているという。工場の稼働率が下がれば、コストはさらに上がる。やむをえずPBを受注して減産分を補っているのだ。

「『期間限定』『限定個数』『カップヌードルとは異なる味』等を条件にPB生産を引き受けた」(日清食品関係者)

日清食品からすれば、PBとカップヌードルが客を取り合うような事態は、なんとしても回避したいところだろう。