自粛生活で溜まったストレスを発散させたかったのか

他の客や従業員を配慮する余裕がなく、自分の主張を押し通そうとする。そんな客に従業員が心も体も張って対応していたことがわかる。支離滅裂な言動や幼い子どものような態度に、呆れ果てて開いた口が塞がらない読者もいるだろう。

コロナ禍によって、「自粛生活で溜まったストレスを発散させたい」「自分が不利益を被ることは許せない」と、なりふり構わないカスハラが横行しているようにも見える。

以上は、実際にあったカスハラ事案のなかから選んだものだ。他にもたくさんの呆れるような出来事が起きている。

「マスク警察」「コロナ恐怖症」「対人ストレス」という3傾向

コロナ禍におけるカスハラには、大きく分けて3つの傾向が見られた。

①マスク警察

マスクをつけていない、あるいはマスクの着用が不徹底な客、従業員に対して、過剰な対応を迫るケースだ。具体例は以下のとおり。

・事業所内で従業員を呼び止め、「あの客は顎にマスクをかけている、鼻を出している」とクレーム。

・「マスクをしないバカな客は帰らせろ」「不要不急の買い物ではないバカな客は帰らせろ」「バカな若者は店に入れるな」という内容の電話を同じ客から3度受けた。

・「いますぐマスクしてない奴らを全員、声をかけて追い出せ」とクレーム。マスク着用の告知・案内はしても、あくまでもご協力をお願いしているという対応方針を説明しても納得せず、「追い出さないお前たちは人殺し! 犯罪者!」と罵倒。興奮した客が灰皿など周りのものを倒すなどし、クレーム行動が悪質に。1時間近く応対したので、警察への通報などを匂わす言葉も入れて応対し、何度も店の方針を繰り返したうえで「あなたの意見は参考にするが、納得しなくても現在は方針を変更することはない」「時間も長く経過しているのでここで打ち切らせてもらう」と告げて応対を終わらせた。

店側の意向を考慮することなく「絶対に自分が正しい」と考え、店側を納得させようとする。「コロナ禍における感染予防」という正当性を利用して、自己の主張に固執するカスハラは拍車がかかったように見える。コロナ感染対策への不満をクレームにしながらも、従業員に対して大声で喚いたり暴れたりする、長時間店に居座るといった矛盾する言動をとる悪質クレーマーは、やはり正当性にかこつけた加害者だ。

写真=iStock.com/Andrey Zhuravlev
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