「添い寝して寝かしつけ」が正解とは限らない

またもっとずっとさかのぼると、子どもが赤ちゃんのときから一人で寝る習慣を身につけさせる風習も、子どもを自立した存在として育てるアメリカ文化を象徴しているような気がします。

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私も長男が赤ちゃんだった頃は日本式で添い寝をして寝かしつけをしていました。子どもと過ごすのも寝顔を見るのも幸せな時間ではあったのですが、なかなか寝付かない、夜中に頻繁に起きる息子と付き合う睡眠サイクルでは親がまったく眠れない状況で、この疲弊しきった生活は続けられないと悩みました。

そこでかかりつけの小児科医に相談したところ、「子ども自身が潜在的に自分を落ち着かせる能力を持っているのだから、その力を少しずつ使って一人で眠れるように練習させてあげないと」と指導されたのです。

子どもを信頼する「勇気」があるかどうか

内田舞『ソーシャルジャスティス』(文藝春秋)

その指導に従い、恐る恐る欧米式の、寝かしつけ無しで「おやすみ」と言うだけで一人で寝かせる方法に切り替えてみると、数日間大泣きした調整期間はあったものの、親も子も朝まで眠れるようになり、子どもが寝た後に落ち着いて親同士の会話ができるようにもなり、さらには夜の時間を使って仕事もできるようになりました。

育児のスタイルは家族ごとに合う合わないがあり、寝かしつけをしないことがどの家族にも合っているわけではないと思います。しかし、私にとってはこの選択肢が提示されたことで、精神的にも身体的にも救われました。

小さい時から親が子どもを信頼する勇気。

子ども自身の「同意」を尊重する文化の根底にはそれがある気がします。

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