メンバー構成が「多国籍・多文化」である意義

彼女たちのMVの最も大きな特徴は、その他のガールズグループがよく見せるかわいらしい物語性ではなく、真似してみたいキャッチーな振り付けと迫力あるダンス、そして洗練されたファッションが目を引く点だ。

BLACKPINKのメンバーは、シャネル(ジェニー)、ディオール(ジス)、ブルガリ(リサ)、サンローラン(ロゼ)など、ハイブランドのグローバルアンバサダーを務めている。世界の少女たちから圧倒的な憧れを集めている背景には、「ハイクラスのファッショニスタ」というイメージを作り上げたMVも大きく作用した。

多国籍・多文化のメンバー構成もグローバルな人気を得るのに大きく役立った。ニュージーランドで生まれオーストラリアで育ったロゼ、ニュージーランドで幼い頃を過ごしたジェニー、タイ出身のリサの3人は英語が堪能で、海外での活動中も通訳なしに仕事をこなしている。今やK-POP練習生たちは歌とダンスのほかに英語をはじめとする外国語授業が必須とされる。世界進出のためには欠かすことができない要素だからだ。

なぜ最近のK-POPグループにはタイ出身者が多いのか

韓国の週刊紙「日曜新聞」のキム・テウォン記者は、「BLACKPINKのグローバル戦略においては、リサは特に注目に値する存在だ」と評価する。

「人口が多く、K-POPの人気が格別なタイは、東アジア諸国の中でもエンターテインメント産業が特に発達した国であり、K-POPのアジア進出のハブ基地としての役割を果たしている。K-POPアイドルの海外進出はまず東アジアで確固たるファンダムを作り、これを土台に米国と欧州に進出する方式だが、この際にタイ市場が東アジア市場を主導する役割を果たすことが大半だ。

だからこそ、最近のK-POPグループでは日本と中国の次に多くのタイ出身メンバーが多い。そうした状況において、タイで“神”級として崇められているリサの存在は心強い。リサがいるだけで、特別なマーケティングをしなくてもタイを中心とした東アジア市場で強力なファンダムを構築することができた。BLACKPINKとしては東アジアを飛び越え、直ちに米国に進出できる環境を整えたわけだ」