脱落者が毎月出る練習生時代を耐え抜いた

大衆音楽評論家のイム・ジンモは「1960年代のビートルズ以後、英国バンドが続々と米国を攻略した現象“ブリティッシュ・インベージョン(英国侵攻)”と酷似した“K-POPインベージョン”現象は、ソロアーティストのPSYとボーイズグループのBTSに続き、ガールズグループのBLACKPINKが加わったことで多様化された」と評価する。(『月刊中央』2022年11月号「BLACKPINKシンドローム、BTSを超える」より)

BLACKPINKが世界的なアーティストとして成功できた背景には、まず優れた実力を挙げることができる。メンバー4人はYGのオーディションを通過した後、ジェニーが6年、ジスとリサが5年、そしてロゼが4年とそれぞれに長い練習生期間を過ごした。K-POP大手のYGには世界から明日のスターを夢見る有望株が押し寄せてくる。そのレッスン過程は厳しいことで有名だ。

空のダンススタジオ
写真=iStock.com/Yagi-Studio
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練習生たちは毎日14時間ほどの厳しいトレーニングを受け、毎月末には審査員の前でテストを受ける。そこではソロとチームの両方の部門で、自分たちで振り付けからスタイリングまで作り上げたパフォーマンスを披露しなければならない。ジェニーはインタビューで、当時の状況について次のように打ち明けている。

「私たちはひたすらサバイバル・モードにありました。毎月のように、一緒に練習していた友達が脱落して家に帰るのを見ました。ストレス? つらい生活? そういう感情は贅沢でした。重要なのはデビューするということだけでした」(『ローリングストーンコリア』2022年7月号)

長く激しい競争を通じて積み上げた完璧なライブとパフォーマンスを武器に、ジェニー、リサ、ロゼ、ジスのBLACKPINKは2016年デビューと当時に、完璧なライブを披露する実力派ガールズグループという名声を得ることになった。

「江南スタイル」から始まっていたMVへの投資

MVの話題性も人気に一役買っている。「観る音楽」であるK-POPでは、アーティストたちの魅力を最大化するためにMVへの投資を惜しまない。

特にYGはヤン・ヒョンソク前代表がかつて各種インタビューで「MVは海外ファンに歌を届ける最初のツールなので最も神経を使っている」と繰り返し語ってきた通り、MVを最も効果的に活用する会社として知られている。2022年にリリースした前述の「Pink Venom」では、YG史上歴代最高額となる制作費が投入されたと報じられている。金額は非公表だが、おそらく5億ウォン(約5300万円)はくだらないとみられる。

YGでは、YouTubeにMVを公開する際にまずティザー動画を先行公開して関心を集め、同時に所属ミュージシャンのファンクラブを活用してSNSで話題になるよう仕掛けるなど、序盤の反応を最大化する戦略を駆使している。公開直後に再生回数が伸びればYouTubeメインページに「再生数の多い動画」として露出され、さらなる再生が見込めるからだ。彼女たちの先輩であるPSYがYGのオフィシャルチャンネルに載せた「江南スタイル」のMVを契機に世界的なスターになったように、彼女たちもYouTube上でずば抜けた存在感を示している。