しかし、「部分やせ」はできない
「体の形」は自分の好みに変えられる「ボディメイク」という言葉がよく使われますが、その要素を分解してみると、「余計な部位の脂肪をなくす」「希望の部位に筋肉をつける」の2つのステップがあることがわかります。
ここで、残念ながら「部分やせ」はできません。逆に脂肪がつきやすい場所はあって、それがお腹です。内臓脂肪や皮下脂肪がつきやすく、太るとすぐにお腹が出てくるのは、みなさんが知っているとおりです。消費カロリーが摂取カロリーよりも多い状態が続けば、基本的には全身の脂肪が均等に落ちていき、最後に残ったお腹が引っ込む、という順番になります。
その先も運動をして、食事に気を配ると、お腹の脂肪が落ちきって、いわゆる「シックスパック」、つまり皮膚の下に腹筋が見えてきます。このとき、ボディラインはどうしても細くなるので、胸や背中、お尻、腕など、つけたい部位の筋トレをして、理想の体の形に近づけていくことになります。
言い換えれば、ダイエットについてはカロリーの収支で説明できるものの、体のデザインは単純なカロリーの足し算・引き算とそれによる体重の増減だけで決まらないのです。
もう一点、押さえておきたいのが、「余計な部位の脂肪をなくす」「希望の部位に筋肉をつける」ことは両立しないということです。
ガッツリ脂肪を落とすための「ムダのない順番」
「有酸素運動をすると筋肉が落ちる」とよく言われますが、これは半分ホント、半分ウソです。なぜかと言うと、人間が活動するとき、まずは糖がエネルギー源として使用されます。血中の糖がまず消費されていくため、いきなり筋肉に影響が及ぶことはありません。また、血中の脂質なども消費されていきます。
しかし、こうした血中のエネルギー源は徐々に少なくなっていきます。そうすると、体の脂肪が分解されて血中に脂質が出てくる=脂肪が落ちるのですが、同時に筋肉が分解されて血中にアミノ酸が出てくる=筋肉も落ちるのです。体にとっては、血中にエネルギー源を送ることが最優先なので、生物の命が脅かされるエネルギー不足のときは、脂肪も筋肉も変わらないただの貯蔵庫だというわけです。
つまり、より正確に言えば、「脂肪を落とす目的で有酸素運動をするなら筋肉も落ちる」ということになります。これを防ぐためにあらかじめBCAA(アミノ酸)を飲むという手もないことはないのですが、ガッツリ脂肪を落とそうとすれば、やはりある程度は筋肉も落ちてしまう、という覚悟が必要になるでしょう。そこで、まずは有酸素運動と食事制限で脂肪をなくしてから、筋トレで筋肉をつけていく、というのが、ムダのない順番になります。