最高のネタを高品質、芸術的に提供する

高級寿司の場合、まずネタはその日の入荷状況によって最高のネタが仕入れられます。

それを職人があれこれと処理をし、場合によっては何日もかけて最高の味を引き出します。シャリや海苔、ワサビといったものにもベストなものにこだわり、その価格は私たちの日常からは想像もできないくらいに高価な場合もあります。

それらの食材を、その日その日、その人その人の状況に合わせて最高の状態で提供してくれるのが高級寿司なのです。

こうして作られる高級寿司は、高品質を通り越して芸術的でもあります。素材と手間、そして技術のすべてにおいて突き詰めているからこそ、高い値段となるのです。

大量仕入れでいつでも同じ味をキープ

一方で回転寿司の場合は、その日その日の入荷状況に極力左右されないように仕入れを行います。冷凍魚や養殖魚も駆使しながら、味が良いネタをまとめて安く買い付け、その時々で出していきます。

また、調理は機械やマニュアルを使って誰でもできるようにし、いつも同じ味を出せるようにします。シャリや海苔、ワサビといったものも大量に安く仕入れて使います。これらを合わせ、なるべく同じ品質の寿司を広範囲に提供し、多売でビジネスを成り立たせるのが回転寿司です。

ながさき一生『魚ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)

こうして作る回転寿司なので、価格を抑えることができます。ただ、安いといっても決して不味くはないはずです。むしろ、美味しく、コストパフォーマンスの良い食べ物だと思っている人が多いから、人気になっているのでしょう。

以上のように、高級寿司と回転寿司はまったく違う性質のものを提供しています。前者は特別な際の食事や芸術性を楽しむものとして、後者は日々の生活の中で食事を楽しむものとして、人々に満足感を与えていることでしょう。

寿司は、様々な形に変わることができ、様々なニーズやシーンにも溶け込める素晴らしい食べ物です。世界各地の老若男女すべての人に向けて、それぞれに合わせた形で、魚を使って満足を提供できるのが寿司という食べ物です。寿司って本当に素晴らしいですね。

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