講師は「前振り」が大事

カウンセリングは、悩んでいる人の話を聴く仕事。受講生は、勉強したくてためになる話を聞く。同じ話を聞くのでも全然違うのですから、2つをリンクさせることはできないと考えるのがふつうです。

けれども、話を聞くという点では同じだ。

だから、いい講師になるためにはカウンセリングを勉強すればいいのではないかと思って、カウンセラー養成講座を受講したのです。これが後の大きな転機となります。

青木さんは思い付いたことをすぐに実行に移す。「素直に実行に移す素直さ」が人生の成功の大きな秘訣だと思います。

講義もグループ・カウンセリングだと青木さんは言います。予定している内容を話すだけで精いっぱいになってしまう講師が多すぎる。レジュメを読むことにあけくれたり、パワーポイントの説明にあけくれたり。これではつくってきたレジュメやパワーポイントに縛られる。

パソコンの画面だけを見ている医者と変わらない。講座は、受講者中心で、受講者の理解と納得のスピードに合わせて、ゆったりと進めばいい。講師というのは、やり取りが大事なんだということです。

特に「前振り」が大事なんだと青木さんは言います。

フットワークの良さが、人生を好転させるポイント

「青木でございます」と言った後に、何を言うかはあらかじめ準備はせず、受講生の顔を見てはじめて決める。同じ会社でも、その都度、どんな人がいるか、どんな人と目が合うかによって前振りの話はアドリブで変えていく。ベテランの女性社員が集まっている研修会では、それに気付いた瞬間に、宝塚の話をし始めた。これで、つかみはOKです。

講師の仕事を重ねているうちに、よい講義は次のようなものだと思い立った。①ラポール。受講生との気持ちのつながりが大事。②声の張りが大事。③語りかけるように話すことが大事。④話と話のあいだの間が取れることが大事。

⑤顔の表情が大事。⑥目配りが大事。⑦体の動きが大事。体を動かして、こぶしを握ったり、手のひらを相手に向けたりする。表情、笑顔も大事。⑧「え~と」「あの~」はNG。

講師をしていると、「著書は何かありませんか?」と主催者の方に聞かれることがあった。これをきっかけに、出版社の出版相談会に行ったそうです。やっぱりフットワークがいいです。フットワークの良さが、人生を好転させるポイントです。

そして、72歳でデビュー作を出した。その後、90歳の今までに25冊の単書を書いておられます。