民主党寄りの人たちはテスラにソッポを向く
2022年11月の米中間選挙におけるイーロン・マスクの共和党寄りの発言を聞いた私は、呆れ返った。
そもそもテスラのメインユーザーは、民主党寄りの人たちだ。
今回の選挙でよりクリアになったのは、若い人たちが圧倒的に民主党寄りだということだった。
もう1つ、テスラみたいなEVを買っている人たちは、都市に住む環境意識の高い人たちに他ならない。
翻って、イーロン・マスクが秋波を送る共和党寄りの人たちは、「地球温暖化は嘘だ」と叫ぶトランプ支持者である。
彼らは絶対にテスラには乗らない。GMやフォードのバカでかいピックアップトラックに好んで乗るような、田舎で暮らす人たちと相場が決まっている。
そこから考えると、今後、別のメーカーから、テスラのオルタナティブとなるEVが登場した際、民主党寄りの人たちはテスラにソッポを向くはずだ。
テスラのビジネスに「2つの大きなリスク」
今後のテスラのビジネスには、先の私の考察を含めて、おそらく2つの大きなリスクを内包する。
1つはチャイナリスク。テスラの販売が米国以外では、中国市場にかなり依存していることだ。
もう1つは、経営者リスク。先に論じたとおり、経営者のイーロン・マスクの政治発言やハチャメチャな行動がビジネスの腰折れを招いており、その矛盾が次第に際立ち始めていることだ。
イーロン・マスクはすでに限界に来ている
イーロン・マスクはすでに限界に来ているのではないか。私はそう思う一人である。
ツイッター買収は、ビジネス判断を大きく間違えた。買う気がないのに買うと宣言してしまい、結局裁判沙汰になって、無理矢理、買わされてしまった。
メディアに適当なことを言っていたツケが回ったとしか思えない出来事であった。
同社に対するイーロン・マスクによるあからさまな株価操縦も疑われており、そろそろ経営者としての限界を迎えていると思われる。
もう1つ、米国と中国がこれだけ対立しているなか、イーロン・マスクの中国にべったりの姿勢は、今後かなりの修正を迫られるはずだ。
したがって、テスラという会社はいろいろな意味で、危ういところがあるのではないだろうか。