腸内環境の悪化はメンタルの不調にも関係している
体内にあるセロトニンの分布の割合は、約90%が腸、約8%が血液中、そして脳内に存在するのはわずか約2%。この約2%の脳のセロトニンのモトが腸から吸収されます(図表1)。
食事から摂取した必須アミノ酸(主にはトリプトファン)から、腸内細菌のはたらきでセロトニンのモトがつくられます。それが脳に届くとセロトニンとなり、リラックスや幸福感などの感情を発生させます。腸内環境が良いと十分な量のモトが脳へ送られるため、セロトニンが増えて精神状態が安定する一方、腸内環境が悪いとセロトニンが足りずにイライラや不安感の原因になります。
トリプトファンを摂取できる食べ物は、豆腐、納豆、みそ、しょうゆなどの大豆製品、チーズ、ヨーグルト、牛乳などの乳製品、米などの穀類です。これらを積極的に摂取することも大事です。また、明日からすぐに実践したいのが、起床後すぐに朝日を浴びること。太陽の光が網膜に入るとそれがスイッチとなりセロトニンの分泌がスタートします。
目の網膜が光を感じることでセロトニン分泌が活性化されるので、窓の近くや外に出て10〜30分ほど、しっかりと太陽の光を浴びましょう。光の強さは2500〜3000ルクス以上が望ましいため、500ルクス程度しかない室内の電灯では効果がないようです。
運動はセロトニンの量を増やす効果的な方法
セロトニンには、体を活動モードにして心のバランスを整える効果もあります。太陽の光を浴びるとなんとなく気分がいいのは、セロトニンのそんな性質と働きが関係していたからです。体内時計を正すのにも役に立っています。さらに、運動はセロトニンの量を増やすもっとも簡単で効果的な方法です。
息が少し切れるくらいの軽いウォーキングを30分するだけでも、セロトニンの分泌量を増やすことができます。朝ごはんをリズムよくかんで食べる、吐く息を意識して深呼吸をするなどでも効果的です。ぬるめのお湯につかったり、ストレッチをしたりとリラックスする時間も設けてみてください。セロトニンを増やすだけでなく、自律神経を整える効果も期待できます。