戸籍のふりがなは、キラキラネームの場合どうなるのか
奇抜な名前というのはほとんどの場合、ふりがながないと読めない。そして名前のふりがなは、これまでは住民台帳には書かれても、戸籍には書かれなかった。
ところが今後は戸籍にもふりがなを記載する、と政府は言い出し、3月には閣議決定もした。個人のよび名を確定することは、行政の効率化や犯罪防止のためには望ましいことではある。
ただ、ふりがなは戸籍にカタカナで記載するという。カタカナは「ユ」と「コ」、「シ」と「ツ」などを読み違えしやすい。カタカナに決めた理由は謎である。
そして私たち全国民は一定の期間内に、自分の名前の読み方を届けることになる。
それはどんな読み方でもいいのか。キラキラネームはどうなのか。そういったことが今あちこちで話題になっている。
これについては、「氏名に用いる文字の読み方として一般に認められているもの」というルールが設けられる。そして漢字と反対の意味になってしまうとか、読み違いみたいに見えるもの、例えば、高(ヒクシ)、太郎(サブロウ)などの読み方は認められなくなるという。
あまり知られていないことだが、以前にも希望した人には、戸籍の名前にふりがなを登録できる制度があった(昭和56年5537通達)。そのふりがなも、漢字と関連性のない非常識なもの(高をヒクと読む、など)はダメということになっていた。
今回も言っていることは同じようなことだが、今度は全国民が対象なので、これまで野放しだったキラキラネームも規制の対象になる、と受け取れる。
「一般に認められている読み方」では意味がわからない
しかし、高(ヒクシ)、太郎(サブロウ)などという浮世ばなれした例ではなく、現に世の中に氾濫している奇抜な名前がどう線引きされるのか、私たちが知りたいのはそこである。キラキラネームに決まった定義もないし、「一般に認められている読み方」と言われても意味がよくわからない。今のところ雲をつかむような話である。
もし届けた読み方が辞典にのっていなかったら、届出人に説明を求めたうえで判断するそうであるが、例えばこんな届け出があったらどうするか?
などのふりがなは、漢字から連想できて一般に認められているのだろうか。そんなことに役所の職員が明確な答えをもっているわけでもない。もちろん一人ひとりと口論するつもりもないだろうから、「とにかく何とでも説明すりゃいい」ということになるのではないか。
戸籍法を改正する前の段階で作られる要綱案でも、「すでに使われている読み方は原則として認める」と述べている。あたりまえである。現にその名前で生活している人に、「法律が変わったからよび名を変えなさい」などと無茶なことを言えるはずはない。
つまりキラキラネームであろうがなかろうが、私たちの名前の読み方はそのまま認められる、と思っていいのではないか。