やり方を変えるのは少しずつでいい

なぜなら、新しい商品を新しい方法で新しいお客さまに営業したら、「変数」がありすぎてどの要素が成果につながったのかわからないからです。これは化学の実験と同じです。

「原因(X、Y、Z)→結果」という式があるとして、XとYを固定してZだけを変えてみるからこそ、研究結果が得られます。毎回80%を変えるとなったら、XやYも変更するような状態で、前提そのものが変わってしまうことになります。そして、要素の数が多くなるほど、1つの要素あたりのパーセンテージは少なくなるので、現実的には1%が妥当でしょう。だから、冒頭の言葉では「1%」という数字を使っているのです。

もちろん、前提を変えるべきときもありますが、それはかなり珍しいケース。だとしたら、1%程度を変えることを意識するのが重要なのだと思います。言いたいことは「1%」が重要ということではなく、そうしたチャレンジによる成長を約束することです。「成功」は約束できませんが、「成長」は約束できます。方法の一部を少しだけ変えてみるなら、自分の意識次第で実行できるはずです。もうここで自分自身に約束してしまいませんか?

常に1%の新しいことにチャレンジして、成長すると約束しましょう。自分にとっての1%は何かを考えながら、少しずつでも成長できる方法を考えてみてください。

「伝え方」よりも「思考の深さ」が重要

会議やミーティングなどで一目置かれる発言ができるかどうかは、ビジネスパーソンにとって重要なポイントです。なぜなら、仕事上の印象は話すときの実力によって決定づけられる面が少なからずあるからです。では、伝え方が重要なのでしょうか。私はそうではないと思います。

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ある著名なコピーライターが言っていました。「伝え方が9割? そんなのは絶対ウソ。言葉は思考の深さによって決定づけられるものです」。私も同感です。どれだけ伝え方がよくても(スラスラとわかりやすく説明されても)、思考が浅ければ人の心を揺さぶる言葉は生まれないでしょう。

そこで課題となるのが「思考を本質に近づける(思考を深める)のはどうすればよいのか?」です。私はアンカーマン(メディアの顔として「取材や自分の考察を通じて、最終的なオピニオンをまとめあげる人間」)の技術が役に立つと思っています。アンカーマンの技術を解説する前提として、思考の方法には種類があるというところから説明します。