少しでもいいから「お金をもらう」

特に今、大企業の歯車として動いているにすぎないという感覚を、もしあなたがお持ちなら、ぜひそういう体験を一度でも味わってほしいのです。本来「人を幸せにする」ために働くのが仕事であるべきなのに、そんな根源的な動機を失いつつある人にとっては、重要な原点回帰になるはずです。

そしてボランティアですが、できることならば、無償のボランティアより、少しでもいいから報酬を得ることを私はお勧めしています。「無料」はどうしても、アウトプットに妥協が生じがちだからです。技術提供する側は、「無料なんだから、この程度でいいだろう」と甘えてしまうし、依頼する側も「無料なんだから、これ以上を求めるのは申し訳ない」と遠慮が発生してしまう。当然、成果もクオリティが一段低いものとなりがちです。もちろん「純粋な好意から支援をしたい」という意味でのボランティアならばいいですが、もし、キャリアアップを意識して力試し的に行うのであれば、対価が発生しないと、真剣さやヒリヒリ感を味わいにくい。少額でも「仕事」として引き受ける責任感と、達成感を、どうか味わってほしいのです。

写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです

社外に飛び出せばスキルは“宝石”になる

「ボランティアと言ったって、そもそも誰かに提供できるようなスキルなんてないよ」と、敬遠する人もいるかもしれません。しかし、これは皮肉でもなんでもありませんが、“大企業の歯車”としての体験でさえ、小さな企業では貴重な知見になることは多いのです。

岡本祥治『LIFE WORK DESIGN』(プレジデント社)

プロジェクトの工程管理、各部署の調整事、スケジュール管理、これだけで1つの職として成立するほど重要なスキルです。そう、企業で働いている人たちはみんな、気づかぬうちに、様々な場所で人を幸せにする能力を、すでに持っているのです。

この記事を読んでいる人の中には、現在の仕事に、やる気や熱意を失っている人もいるかもしれません。さらには、「自分の仕事(実力)など大したことない」「会社からも評価されていない」と感じている人もいるのではないでしょうか。

でも、「ある企業から『不要』とみなされた能力・スキル・経験も、場所を変えれば『喉から手が出るほど欲しい』能力・スキル・経験になりえる」というのが、私が人材マッチングの事業を通じて、得た実感です。

すなわち、今まであなたが身に付けてきたスキルは、実は、見つけて磨きさえすれば、光り輝くことのできるポテンシャルを秘めている「原石」なのです。

本書では、その方法を皆さんにしっかり伝えたいと考えています。

どうかあなたの持つ技術・発想・ノウハウを1社のみで埋没させるのではなく、複数の企業・組織・土地に伝えていってください。「取るに足らないスキル」と思い込んできた「ただの石」が、ところ変われば「宝石」に転じる可能性は大いにあるのですから。

関連記事
仕事ができる人は知っている…「よろしくお願いします」より効果的なメールの締めのフレーズ
「私は聞いていない」という上司はムダな存在…トヨタ社内に貼ってある「仕事の7つのムダ」のすさまじさ
「課長のボーナスはいくらですか?」トヨタでは新人がそんな質問をしても許されるワケ
これだけは絶対にやってはいけない…稲盛和夫氏が断言した「成功しない人」に共通するたった1つのこと
ブラック企業はまもなく日本から消滅する…経済評論家が「ユニクロ賃上げ」のニュースからそう考えた理由