地方の中小企業で希望の職種に

縁あって副業を得たのは、鳥取県の中小企業でした。“中小”とはいえ、そこはM&Aを繰り返すことで企業規模をかなり大きくしてきた会社でした。ただ、多様な企業を吸収合併したことで、グループ全体のブランドがぼやけてしまい、「改めてブランディングを見直したい」「地元に対してもきちんと企業価値を発信していきたい」と、ブランディングのプロを副業枠で募集していたのです。

オフィスで働くキャリアウーマン
写真=iStock.com/maroke
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山本さんは応募者18倍の競争を勝ち抜き、見事、副業としてのブランディング担当の地位をゲットしました。本業と職種が異なることは応募段階での懸念材料ではありましたが、大学でマーケティングを専攻していたこと、本職でのキャリアもしっかりと評価されたこと、なにより山本さんご自身の真摯な人柄とコミュニケーション力が功を奏して、無事18倍の難関を突破することができたのです。

本職を辞めるつもりはない

その後も山本さんと企業の関係は良好で、すでに1年を経過していますが「副業」は順調に継続しています。おそらく副業での経験は今後、本職でも活かされていくことでしょう。次に社内でキャリアチェンジを望むとき、「外部の企業でこれだけマーケティングやブランディングの仕事をしてきました」と実績を示せば、社内異動でもご自身の希望に近いポジションが見込めるはずです。

また、山本さんが特徴的なのは、本職を辞めるつもりはないということです。本業である会社の待遇も給与も福利厚生もすべてにおいて、山本さんは満足しています。ただ、自分の中の選択肢を増やすことで、漠然とした将来の不安もだいぶ解消されました。もし将来的に、会社で実力を発揮できない立場になったなら、50代、60代で独立して、フリーランスのブランディング・コンサルタントとして活動もできるはずです。生きるための選択肢が増える。こんな実感を持てるのは、「副業」経験者ならではの大きなメリットです。