最安値に消費者が殺到しないのも、こうした事実を踏まえているからだろう。最大手「価格.com」では、各ショップのアクセス数を集計した「ショップランキング」を発表している。これを見ると、上位は「最安店」というより「有名店」だ。なかでも世界一の通販サイト「アマゾン」は、10年4月22日現在、液晶テレビ、デジタルカメラ、ゲーム機、掃除機などで1位だ。
ほかの比較サイトでもアマゾンの存在感は大きい。10年3月現在、「ベストゲート」のユニーククリック数1位もアマゾンだ。同サイトを運営するコムニカルの川崎貴志取締役は、アマゾンの強さの背景を「そこそこの安さと在庫の豊富さ」と分析する。
「利用者は未知のショップに個人情報を登録するよりも、アマゾンのような大手ショップを選ぶようだ。最安値となることは少なくとも、妥協できる程度の値付けがされている。また規模が大きいため、ひとつのサイト内でさまざまな商品を比較、検討できるのも強みだ」
規模が大きければ、そのサイト内で目的の商品と遭遇する機会が増える。長時間、回遊する人は購買意欲も高い。
では中小ショップは、どうやって大手に対抗しているのか。最安値を追求するPCボンバーは、「最安値が基本だが、加えて価格.comの『ショップ評価』を99%以上に維持するよう努力している」(今井氏)という。
ショップ評価とは、お客が注文方法、対応、納期、梱包、再利用意向の五点について、「はい」「いいえ」で投票するもの。価格以外の要素を数値化したものともいえる。川崎氏も「顧客のロイヤルティが重要」という。
「安値競争では消耗を招くだけ。商品価格だけではなく、総合的に顧客を満足させられなければ、ショップ運営は難しい」
※すべて雑誌掲載当時