布団から出ないと、覚醒が後ろにずれ込む

小さい頃なら遠足の朝、大人になってからはゴルフや旅行に行く朝に「バチッ」と目が覚めて、すぐに布団から出られたなんて経験は誰しもあると思います。

多くの方はこの感覚で起きられることを「目覚めが良い」と勘違いしています。

この1年に1回レベルの覚醒度を基準にすると、99%の人が「朝スッキリ起きられない」ことになります。

そして実際に朝起きられない人たちにヒアリングすると「十分起きられる状態」まで二度寝したり、布団でモゾモゾしてから起きるとおっしゃいます。

これは「起きられる状態になったから起きる」という感覚です。ここで種明かしとなる要素は「体温」と「ホルモン(コルチゾール)」の上昇です。

多くの人はこの2つが上昇するのを待って起きています。もちろん朝型と夜型で上昇するリズムが違いますが、どちらにせよ、布団の中にいては体温もホルモンもなかなか上昇してくれないので、覚醒がどんどん後ろにずれ込みます。

一方、朝スッキリ起きられる人の多くは、体温とホルモンが上昇していなくても、いったん起きて光を浴びたり、水を飲んだりして自らで上げていきます。その結果、かなり早い段階でスッキリした状態を手に入れることができます。

これを繰り返すことで、少しずつ体温もホルモンも早く上がるようになり「スッキリ朝起き体質」になっていくのです。

「起きてから目覚めていく」と考える

要は考え方を「目覚めたので起きる」ではなく「起きてから目覚めていく」に変えて実行しているだけなのです。この考え方を取り入れるだけで、朝目覚めるまでの時間がかなり短くなって、朝から活動的に動けるようになります。

角谷リョウ『働くあなたの快眠地図』(フォレスト出版)

よく「私は低血圧なので朝起きられない」とおっしゃる方がいますが、目覚めやその後の活動と低血圧はほとんど関係がないことが分かっています。

ただ、その考え方で長年体も脳も慣れているので、普通の人より少々時間がかかりますが、このやり方で朝早めにスッキリできるようになります。

ちなみにこの朝の起き方を取り入れると、平均28分の時間が生まれることが私たちの調査で明らかとなりました。「早起きは三文の徳」とは、まさにこのことですね。

イラストレーション=髙栁浩太郎
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