なぜ中国市場を飛び出したのか

世界1758億ドル(約23兆2000億円)のゲーム市場で、中国はシェア3割を占める世界一の市場だ(2022年現在、Newzoo調べ)。

スマホゲームでもトップ100社のうち38社が中国企業(22年3月時点)、2021年を通じて全世界で売れているスマホゲームのトップ3タイトルは『王者荣耀(Honor of Kings)』(22億2000万ドル、約2930億円)、『PUBG』(韓国PUBG Studios 、17億3000万ドル、約2283億円)、『原神』(15億6000万ドル、約2059億円)と1位と3位が中国のゲームだ(mobilegamer.biz調べ)。

こうした記録をもってしてなお、中国ゲーム会社の危機感は強い。なぜなら彼らの“足場”である中国市場が、極めて不安定な状態にあるからだ。

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世界に冠するゲーム産業とはいえ、野放しな経済成長は中国行政にとっては脅威ともなり、依存性を深めるスマホゲームは度重なる規制強化の対象となった。

もともと中国でゲームをリリースするには行政の許諾が必要、外資企業には参入手段がない。

AppleのiOS市場は公式なものがあるが、Google社は入れておらず、Androidのゲームプレイ市場は中国企業が各社思い思いに作り、400種類以上もの市場が乱立。それを攻略するために中国の内資系ゲーム会社との提携は必須だった。

しかし内資系にも規制の網はかかりはじめ、それは2018年から如実になる。

世界一のゲーム市場は、世界一規制されている

18年3月、政府機構改革のためにゲーム審査の一時延期、19年11月、未成年へのゲーム提供は8~22時までの間に1日1.5時間のみの時間制限と、8歳未満課金禁止・18歳未満も段階的金額制限。

そしてついに、21年8月には金・土・日・祝日の20~21時の1時間のみという一層厳格な時間制限という事態に至って、もはや中国市場にとどまり続けることはリスクでしかなくなってきた。

各社は東南アジアや韓国・日本、さらには欧米など「海外」に市場を求めて大挙して展開をしていったのが2018~19年。

日本でいえばNetease(ネットイース)の『Knives Out(荒野行動)』『陰陽師』やC4games社『放置少女』が盛り上がってきた時期である。