バンドマンだった菅氏長男も政務秘書官に

それが決して大げさな話ではないことは、菅義偉前首相の長男が証明している。

2021年に「文春砲」でスッパ抜かれたように、放送事業会社「東北新社」の幹部である菅氏の長男は、顔見知りの総務省幹部に対して高額の接待をおこなっていた。では、なんでこの長男氏が「総務省人脈」を持っているのかというと、翔太郎氏と全く同じだ。

もともとバンドマンで政治経験ゼロだったが、菅氏が総務大臣になった時に、パパに「大臣政務秘書官」にしてもらったのである。大臣のパパと常に行動を共にしているので当然、総務省幹部などほとんど顔見知りになったというわけだ。その時にできた「人脈」で、秘書を辞めた後もメシが食えていたというわけだ。

このように政治家の父が、息子を「政務秘書官」にするというのは、政界や官僚の「人脈」のプレゼントをするということなのだ。これを活かせば、地盤を引き継いだ時に選挙を有利に戦えるし、民間企業に就職をしても「ロビイング」などでメシが食えるというわけだ。

「政治屋一族」を応援し続けてきた日本国民

こういう現実がある以上、岸田首相も翔太郎氏はそう簡単にクビにはできない。自分が首相で居続けられる限りは、「人脈」のプレゼントをし続けようと考えるはずだ。

それはもちろん、広島1区の権力継承のためということもある。が、「親心」とはそういうものではないか。

このような話を聞くと、「政治を私物化しているじゃないか」なんて不愉快になる人も多いだろうが、このような「世襲議員」のシステムを受け入れて、「政治屋一族」を応援してきたのは他でもない、われわれ国民なのだ。

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安倍家、麻生家、岸田家などがわかりやすいが、日本の戦後政治はなんやかんや言って、明治時代から続くエスタブリッシュメントの一族が仕切ってきたという動かし難い現実がある。

だから、官僚もメディアも基本的にはこのような「上級国民」にはかしづいてきた。何かスキャンダルや失言があった時は鬼の首を取ったかのようにボロカスに叩いて冷や飯を食わせるが、「世襲」という根本的なシステムまでは攻撃しない。

「世襲であっても優秀な人材であればいい」とか「偉大な政治家を間近で学べるから世襲の方がいい」なんて世界的にはかなり珍しい考え方をして、なあなあにしてきた結果が「今」である。