もとから住む人と移住してきた人が対立しない仕掛け
【泉】少子化が改善されるほど、移民問題という新たな課題が際立ってくるわけですね。言葉を選ばなければいけませんが、移民の人たちは、低収入の方も少なくありません。そうなると、子育て政策にかけるお金と税収のバランスがとれなくなって、破綻してしまうリスクもあって。だから、私が明石で子育て政策をやるときは、中間層に光を当てて、持続可能な財政構造に持っていくことを強く意識しました。
【ひろゆき】そこが所得制限をかけないことで中間層以上の家庭が集まってくるって話につながるわけですね。(連載第1回)
【泉】その通りです。ダブルインカムの納税者の方に来てもらって、そこがお金を落とすっていうストーリーをつくったんです。あともう1つフランスから学んだのは、移民問題って、やっぱり対立を招きがちなテーマなんですよ。明石市も同じで、他の市町村から人を連れてきて優遇するばかりでは、もとから明石市に住む人たちとの対立を生むんです。それを避けるために、優先度としては、ずっと明石市に税金を納め続けた人が、まず第一。そこを強調しないと反発を生んでしまいます。
バラマキ政策は対立を生んで分断のもとになる
【ひろゆき】そのあたりの対立もあるかもしれませんが、基本、日本は日本人しかいないのでラクだと思うんですよね。EU(欧州連合)だと、貧しい国の人でもフランスに住めて、国から補償がもらえるんですよ。低収入だと、家賃手当みたいなのを毎月2〜3万円支給されたり。フランスに移住するだけでお金をもらえちゃうんで、じゃあ行くわっていう人も出てきますし、現地の人との軋轢は生じざるをえません。
【泉】確かに、EUのように各国の財政状況が異なると、対立を生みやすい構造にならざるをえません。ただ、同じ日本人同士でも多少のやっかみはありますので、明石ではそうならないように、あくまで中間層以上が得をする政策や、分断のもととなるバラマキ的な政策にならないようなサポートの仕方を目指したつもりです。