地方経済の立て直しには何が必要なのか。兵庫県明石市の泉房穂市長は「私は就任直後、地元から反発を受けながら駅ビルに図書館と子ども支援施設をつくった。結果として人が集まり、商店街は新規開店ラッシュになった」という。ひろゆき氏との対談をお届けする――。(第3回/全3回)
※本稿は、泉房穂、ひろゆき『少子化対策したら人も街も幸せになったって本当ですか?』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
小さな市が企業支援をしてもたかが知れている
【ひろゆき】明石市が子育て政策に取り組むことで、街の経済がめちゃくちゃ回り出すようになったっていうところを、もう少し詳しくお伺いしたいです。
【泉房穂】経済成長を続けている豊かな国って、優先的に子どもと教育に予算を割いているのが特徴だと思うんです。経済の回し方って2パターンあって、企業にお金を回すか、消費者のほうにお金を回すかなんですよ。これまでの日本のやり方は完全に前者です。法人税減税とか、商店街にアーケードをつくるなどハード面のサポートをして、企業のほうを手厚く支援してきました。それは1つの手法なんだけど、それだけじゃなくて、消費者が物を買える状況をつくることが大切で。明石市が企業支援なんかしてもたかが知れていますし、それなら子育て層の負担を軽減して、彼らが街にお金を落とすよう促し、商店街を潤したほうが効率的なんです。
【ひろゆき】明石市でもやっぱり、子育て政策の先にある経済対策はもちろん見越していたわけですね。ちなみに、市長に就任されて一番最初に取り組んだことって何だったんですか?
【泉】最初にやった仕事の1つは、駅前の再開発中のビルの中身をごっそり入れ替えたことです。子育て支援施設と図書館にね。