ポイントは中間層以上に光を当てた仕組みづくり

【ひろゆき】そうやって景気がよくなると、ホームレスの人が増えたりしません?

泉房穂、ひろゆき『少子化対策したら人も街も幸せになったって本当ですか?』(KADOKAWA)
泉房穂、ひろゆき『少子化対策したら人も街も幸せになったって本当ですか?』(KADOKAWA)

【泉】そこは意外と、少ないんですよ。生活保護はどこのエリアでも受けられますから、そういう意味では、明石市は都会じゃないので、受け取れる額が少ないんですね。都会のほうが炊き出しなどのサポートも手厚いですし。

【ひろゆき】なるほど、家がなくなったら都会にいるほうが得なんですね(笑)。そういう意味で言うと、明石市の子育て支援目当てに来るような収入の低い人、あるいは生活保護を受けているような人は、意外と少ない?

【泉】おっしゃる通りです。例えば、「5つの無料化」で保育料や医療費を無料にしていますが、生活保護の方たちはもともと無料だから、わざわざ明石に来る必要がないんです。低所得者の方も、もともと保育料は安いですしね。それと、現金バラマキ政策みたいなこともやっていないので、それを目当てにやってくる人もほとんどいないと思います。えてして明石市の政策は、中間層以上の人たちが得する仕組みになっているんです。このあたりは、実は相当考えましたね。

【ひろゆき】経済効果という意味では、政策に使う予算と税収のバランスは極めて重要な気がします。

フランスの出生率を押し上げたのは移民たち

【泉】ここは実を言うと、フランスの政策を参考にしたんです。言わずもがな、フランスは、少子化対策に成功した代表的な国の1つです。ひろゆきさんは実際にパリにお住まいなので、現地のリアルな子育て政策の様子もぜひ伺いたいと思っているんですが。まず、日本とフランスの大きな違いとして、移民問題が挙げられますよね。

【ひろゆき】フランスの出生率が高いのって、実は、移民の人たちが子沢山っていう背景もあって。その一方で、マリーヌ・ル・ペンさん(極右政党の国民連合に所属するフランスの政治家)みたいに極右の人が支持されたりもするので、少子化と並行して、現地の人vs.移民という社会構造も生じます。出生率が上がる一方で、移民の人たちの数が増え続けている。生粋のフランス人の出生率は、実はあまり上がっていないんじゃないかっていう説もあります。