リスナーの声で成り立つような会社でありたい
その後、生体認証で知られる「DDS」(2005年)にて、小型指紋認証ユニット、防水ワンセグTVなど、これまでと違った製品をヒットさせたことが自信につながり独立。2009年に「坂本ラヂヲ」を設立した。
社名の由来について坂本氏は、「ラジオというメディアは、リスナーの声で番組が成り立っています。ラジオ世代だった私にとって、自分たちのものづくりはユーザーとそんな関係でありたいという想いから命名しました」と話す。
「ラヂヲ」という旧字体をあえて用いているのは「老舗感を出すため」。社名の自体に関しても、「ただなんとなく」ではなく、ビジュアルからくるイメージを意識しての命名だった。
また、坂本氏はファッションへのこだわりも強く、スーツから小物に至るまで、常にトータルで自らコーディネートしている。
そんな坂本氏が切望したのが、「手帳型」のスマホケースだった。
「スーツにシリコンケースなんてかっこ悪い」
「私が初めて手にしたスマホがiPhone3Gでした。当時、スマホケースと言えばシリコン製のカバータイプのものが主流で、手帳型のケースは縦型のみ。それも選択肢がないほどマイナーな存在だったんです。スーツにシリコンケースはどう考えても似合わない。何でこんなかっこ悪いケースしかないんだろう? そうだ、世の中にないんだったら、日本一、いや、世界一かっこいいスマホケースを自社で作ってしまえばいい。GRAMASはそんな考えから生まれました」(坂本氏)
本来、企業であればきちんとマーケティングを行い、利益を出すことを第一に考えて新製品を作るのが一般的。しかしGRAMASはマーケティングを一切行うことなく、坂本氏の「スーツに合うかっこいい手帳型のスマホケースが欲しい」という純粋な思いから製作が決定した。
しかし、開閉にワンアクションを要する手帳型のスマホケースに、坂本氏はなぜそこまでこだわったのだろう?