「高いスマホケースは売れない」常識を打ち破る
1000円前後で買えるスマホケースが並ぶ家電量販店で、2万円でも売れているスマホケースがある。
この値段を聞いた方の多くは、「そんな高いスマホケースが売れるのだろうか?」と思うのではないだろうか? 「スマホを買い替えるたびに必要となるスマホケースは安価なほうが売れる」とも。
ところが、そんな予想を見事に裏切るかのように、そのスマホケースは2014年に発売するやいなや大ヒットとなった。ブランド名は「GRAMAS(グラマス)」。日本で初めての一枚革を使用した横開き手帳型のiPhoneケースのブランドである。
ブランドはGRAMASを筆頭に、10万円を超える最上位ラインの「GRAMAS Meister(グラマス マイスター)」、合皮を中心としたカジュアルラインの「GRAMAS COLORS(グラマス カラーズ)」の3種を展開している。販売するのは「坂本ラヂヲ」(東京都目黒区)。「高いスマホケースは売れない」と言われていた業界の常識を打ち破った企業である。
ヘッドフォンの美しさを追及し、怒られたことも
ではなぜGRAMASは、「高いスマホケースは売れない」と言われる業界の常識を覆すことができたのか?
そこには坂本氏ならではの「美意識」がある。坂本氏は大学卒業後、「アイワ」(1989年)を皮切りに、数社のオーディオメーカーでヘッドフォンステレオやカーオーディオの開発プロジェクトなどに携わってきた。商品開発においては機能性だけではなく、常にビジュアルも重視したという。
特に話題になったのは、あるメーカーで企画したラインストーン付きの女性向けヘッドフォン。安価なガラス玉ではなく、高品質のクリスタルガラス、スワロフスキーを用いることにより、アンテナの高い女性たちから多くの支持を得た。
「ヘッドフォンに社名が入っていない方が美しいと思い、社名を入れずに企画。販売後、社名が入っていないことが社長に見つかり、怒られました」