「100%正しい」と断言できるものではない

これがもし数学の(机上での)論述だとしたら、当てはめるモデルは必ず正しいものと言って構いません。ご紹介した三平方の定理はどんな直角三角形でも必ず言える法則であり、2次方程式の解の公式も同じことが言えます。数学のモデルは、数学の世界の中においては必ず正しいものです。

深沢真太郎『「数学的」話し方トレーニング』(PHPビジネス新書)

しかし数学の世界と私たちがいる現実の世界は違います。私たち人間がいる現実世界において語られるモデルとは、必ずしも正しいものとは限りません。

つまり本稿でご紹介したモデルと呼ばれるものは、100%正しいと断言することはできないものばかりなのです。実はこの違いこそが、「数学」と「数学的」の違いです。

数学:正しいことを説明する
数学的:正しそうに説明する

本稿はあくまで数学的な話し方を推奨するものです。私たちが現実の世界においてモデルを使って話すということは、正しい内容を伝えることではなく自分の主張を正しそうに伝えることなのです。

先ほどご紹介した勝間さんの話した内容は、実は正しいかどうかは誰にもわかりません。ただ、とても正しそうに伝わります。

もしあなたが【演習問題】にチャレンジしていたら、そこで考えた“説力ある内容”が正しいかどうかは誰にもわかりません。ただ、相手には正しそうに伝わることでしょう。

結局のところ、説得力ある話とは正しそうな話のことです。正しそうな話とは、本稿でご紹介したような数学的に話した結果のことです。つまり説得力ある話とは、数学的に話した結果のことです。極めてシンプルな三段論法ですが、私はこれが本質だと確信しています。あなたは、どう思いますか。

説得力ある内容=正しそうな内容

正しそうな内容=数学的に話した内容

説得力ある内容=数学的に話した内容

私たちがいるこの世界、特にビジネスシーンではいかに正しそうに話すかで勝負が決まっています。どうすれば正しそうな話ができるか。本稿はあくまでひとつのアプローチをしたに過ぎません。ぜひこれをきっかけに、ご自身でも考えてみてはいかがでしょうか。

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