「ロリコン」との曖昧な境界線が課題に

ただし、今のところは「保守の亜種」という評価にとどめることにしたい。というのは、萌え系には「ロリコン」が入り込む余地があまりにも大きく(ロリコン志向がある場合、胸は小さく描かれることが多いだろう)、その境界が曖昧だからである。萌え系は「ロリコン」という不道徳性を常に抱え込んでいる(ように見える)ために、いまだに従来の保守からも攻撃対象になりやすい。

従来の保守と萌え系保守の根本的な違いは、従来の保守が精神的な「成熟」を志向するのに対して、萌え系保守が未成熟を良しとして全面肯定している点にある。だからこそ、女性を「未成熟側」に置き、かつ「母性」という役割を課すといったことを極端に嫌うフェミニズムにとっては、萌え系が不退転の敵になりうる。

仁藤氏や太田氏が萌え系を徹底批判したのは、フェミニズムにとっては不退転の敵である萌え系が役所や地方で大きく浸透したことに危機感を持ったからでもあるのだろう。

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「萌え系vsフェミニズム」を象徴する出来事

現代が男性優位社会であることは真実であり、世界がリベラル化に流れる中でフェミニズムが受け入れられる環境は整いつつある。政府も自治体も今後はフェミニズムに沿った政策を進めていくだろう。

ただ、萌え系が社会に浸透していく中で、萌え系を駆逐しようとするフェミニズムは、萌え系側にとっては「表現の自由の敵」である。その点で、象徴的な出来事が最近起こっている。

上述した仁藤夢乃氏が主催する困難少女支援団体Colaboに、会計不正があるのではないかとツイッター上で指摘しはじめられたのである。それを先導したのがゲームクリエイターとして活動する暇空ひまそらあかね氏である。

暇空氏はColaboが所有するマイクロバスのタイヤに関して「古いタイヤを使っているのに、2018年に請求しているのはおかしいのではないか」とツイッター上で追及する。それに対して、Colabo側は衆議院議員会館で大々的に記者会見をして反論、誹謗ひぼう中傷などを理由に暇空氏を提訴するという対応を見せている。

暇空氏は、かつて金銭トラブルで最高裁まで戦って勝利した経験があり、このColaboの提訴に対して全面対決の姿勢を見せて、反対に関係者の提訴を開始、ツイッターのほかnoteやYouTubeなども駆使してさらに追及の手を強めていった。