なぜColaboの会計不正疑惑を糾弾するのか

その過程で多くの支援者が集まりはじめ、ツイッターのフォロワーは一般人としては珍しく20万人をはるかに超え、裁判費用を募ったところ8000万円もの金額が集まった。ハードルが高いといわれる住民監査請求もなんなく通して、Colabo側の会計が杜撰なものであったことを暴き出す。

同時に、同類のNPO団体も同じような杜撰な会計をおこなっていると次々と看破して、その疑惑は赤い羽根共同募金に及んでいる。暇空氏はたぐいまれな行動力の持ち主であり、平均的ジャーナリストなど相手にならないほどの洞察力を備えていることが明らかになる。私が観察したところ、暇空氏はツイッターなどネットの性質を熟知しており、情報戦にも長けている。

40代男性の暇空氏のツイッターアカウントは「アニメアイコン」が使われており、仁藤氏を追及するきっかけに温泉むすめの一件があったことにも言及していた。

萌え系側に属することは間違いない暇空氏の言動のコアに会計不正疑惑(暇空氏はこれを「公金チューチュースキーム」と呼ぶ)に対する怒りがあるのは確かだが、その行動原理が単なる正義感ではなく、世界の潮流の中で行政も味方にしているフェミニズムによって、自分たちが獲得した表現の自由を脅かされていることへの怒りにあるのではないだろうか。

どちらの表現の自由を認めるべきかという戦い

かつては石原が象徴するように、保守は権力、左派は反権力だった。だが、本人たちがどう考えようと、フェミニズムはリベラル化の流れの中で言論を抑圧しうる1つの権力となりつつある。萌え系保守はそれに対する対抗勢力であり、その対立において有効な戦い方を示したのが暇空氏である。暇空氏は萌え系が新しい保守のあり方として成立する過程で誕生したニュータイプのヒーローであるというのが私の見方だ。

この対立は、秩序破壊(フェミニズムにとっては「アンシャンレジーム破壊」)のための表現と、萌え系という伝統的女性観のサブカルチャー手法による表現の、どちらの表現の自由を認めるべきかという戦いでもある。

この対立がどのようなエンディングを迎えるかはわからないが、これまでブラックボックス化していたパンドラの箱が暇空氏というトリックスターによって開けられたことで、多くの者が次はどうなるのかと、アニメの続きを待ちわびるように関心を寄せている。私もその一人であるが、傍観者でいるつもりはなく、今後も現場で従来の保守側の立場から発信し続けるつもりだ。

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