間違った目標設定をしている宗教・価値観は要注意

ただし、厄介なのは、本人があくまで善意に基づきよかれと思って、悪をなしている場合です。かつてのオウム真理教などは、まさにそのパターンでしょう。

このままだと煩悩からどんどん悪事を働いてしまう衆生を救わなければならない。そのためには人々を罪の軽いうちに殺してしまうこと(ポアすること)が正しく善なる行為である、という論法です。

あくまでも自分たちこそ正しく、神や天の意志に従っているという認識なので、大変に始末が悪いのです。

こういう場合は、彼らの目標や目的が、いわゆる公共善に基づいたまっとうなものかどうかを考えてみることです。

例えばナチスドイツやソ連のスターリニズムがよい例と言えます。彼らの論法は彼らの内部においては正論とされますが、一歩そこから離れ、客観的な価値観と照らし合わせてみると、決してまっとうな目標でも目的でもないことは明らかです。

佐藤優『君たちの生存戦略 人間関係の極意と時代を読む力』(ジャパンタイムズ出版)

ナチスの優生思想に基づくホロコーストや、スターリニズムの全体主義的な大粛清は、そこに自己犠牲的な要素も公共善的な要素もありません。あるのは自分たちを正義として、反するものを抹殺する独善的な価値観・ドグマです。

ゲルマン民族が世界を支配するという目標も、共産主義の皮を被った全体主義の完成という目標も、正しいもの、善なるものだとは言えません。

間違った目標設定をしていると考えられるものからの影響は、どんなものであれ排除するべきです。ただし、これは集団の中心にいて、同調圧力と集団真理にどっぷりと染まっていると客観的な判断が難しいでしょう。

中心から少し軸足をそらすこと、そして客観的、相対的に全体を俯瞰する姿勢が肝要なのです。

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