良い人間関係を構築するにはどうすればいいか。元外交官で作家の佐藤優さんは「深い人間関係を築くには、一緒に食事をすることが大切だ。特に鍋や焼き肉は親密度が増しやすい」という――。

※本稿は、佐藤優『君たちの生存戦略 人間関係の極意と時代を読む力』(ジャパンタイムズ出版)の一部を再編集したものです。

鍋料理
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リモートに慣れると人と会うことが億劫になる

まず、職場の人間関係について考えてみましょう。よく言われるのが、直接的な人間関係の大切さです。

インターネットやSNSが発達して、リモートでもやり取りが自由にできる時代になりました。だからこそ直接会って話をする。食事をしたりお酒を飲んだりして付き合いを深める。直接的なコミュニケーションが大事だということです。

たしかにFacebookで友達が何人いても、Twitterでたくさんフォロワーがいても、実際の仕事において、そのようなバーチャルなつながりはほとんど力になりません。

メタバースもそうです。IT技術で構築したバーチャル・リアリティー(VR)でユーザーがアバターとなって、現実に似たコミュニケーションができるサービスです。しかし、ウクライナでの戦争のことを考えてみましょう。

国土の中央部の低地を流れる現実のドニエプル川をアバターで越えることはできません。VRが現実の戦争に影響を与える力を持っていないわけで、このことは実は人間関係にも当てはまると思います。

ただし、直接的な人間関係をどの程度築いていくか? その加減が実は難しいのです。

ところで、皆さんはこの2年ほど、新型コロナ禍の影響で自宅で仕事をすることが一気に増えたと思います。

Zoomで会議をしたり打ち合わせをしたりする。直接相手と対面することが大事だと教わってきたけれど、意外にこれがうまくいく。ということで、すっかりスタンダードになりつつあります。

リモートに慣れてしまうと、今度はいざ対面で話すときにとても億劫に感じます。実際そういう人も増えているのではないでしょうか?