大物に近づくためにはどうすればいいか。元外交官で作家の佐藤優さんは「仕事の話は一切せず、相手が興味のある話だけを投げかけることだ。私はロシアの大物に神学について語ることで、破格の待遇を得た」という――。

※本稿は、佐藤優『君たちの生存戦略 人間関係の極意と時代を読む力』(ジャパンタイムズ出版)の一部を再編集したものです。

プライベートジェット内で、タブレット端末を見ながら話し込む男性二人
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「やる気があって能力が低い人物」は要注意

人脈を広げるにあたって、相手を見極めるにはどんな点に注意するべきでしょうか?

仕事ができて成果を上げている人であることは当然の条件になります。ただし、そういう人物であれば誰でも重要な人物であるとは限りません。

私がよく人物判定に使うのが、意志と能力のマトリックスです(図表1)。意志つまりやる気があって能力があれば、当然仕事の成果は上がるでしょう。意志と能力の積こそが仕事力ということになると思います。

そこで横軸に意志を、縦軸に能力を取ったマトリックスで人物を判定するのです。

まず、第一象限に属する「意志も能力も高い人物」は、文句なく人脈として有効な人物だと言えるでしょう。それもできるだけ右上に位置する人物がふさわしいと考えられます。

第三象限の「やる気がなく能力も低い人」は論外ですし、第二象限の「能力はあってもやる気が低い人」はやはり人脈として魅力はありません。やる気の低さに引きずられて、能力は落ちていきます。

一番問題なのは第四象限の「やる気があって能力が低い人物」です。結論から言うと、こういう人物は避けた方がいいでしょう。意識が高くやる気があるので仕事ができるように見えますが、実際は能力が追いついていません。

無駄なことに時間と労力をかけた挙げ句、ミスや失敗を犯し、周りが後始末に苦労させられる人物です。