耐震化やバリアフリーも必要となっている

戦後、再建された天守閣が築後50年に達しつつあって、耐震化も必要だし、名古屋城では、本格木造復元案の是非が大論争になっている。

展望台として役立てるために高欄をつけたり窓を大きくしたりすることの何が悪いのだろうか。身体に障害のある人たちのためにエレベーターもむしろつけるべきだ。現在はルーブル美術館となったルーブル宮では、訪問客の出入りを円滑にするために造ったガラスのピラミッドは大成功だった。

立地についても、伏見城は、本丸跡が明治天皇の伏見桃山御陵になっているため、城下町から見栄えがする場所を選んで建設して大成功した。これがなかなかよい。福岡城は、天守台はあるが、天守閣があったかどうかすら不明だ。それでも、新規に天守閣を建てた方が都市の風格が間違いなく上がる。

伏見桃山城(写真=Thomas vanierschot/PD-self/Wikimedia Commons

城のある地元の選択がもっと尊重されるべき

天守復元を巡っては、国の行政、学者、市民グループなど、それぞれ自分の意見に固執するために対立しがちだが、城、そして天守は地元の誇りであり、地元それぞれの歴史があり都市景観についてのポリシーがある。

2019年の火災で損傷したパリのノートルダム寺院の復元は、現代的デザインを採り入れるか、そのまま復元するかが議論になり、マクロン大統領が最終判断として後者を選んだ。こうした決断のあり方には、日本も学ぶべきところがある。

それぞれの立場で意見を言うのはいいが、地元自治体の選択が尊重されるべきだし、国として意見があるなら、最後は文化庁という個別の部局でなく政府全体として対応し、政治判断がされるべきだと考える。

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