最も重要なのは「なぜなぜ解析」

また、トヨタでは「対策」と「処置」は違います。再発しないように防止することが「対策」で、当面の対応が「処置」。問題解決ではちゃんと対策を提示します。さらに実行して、その経過、できれば結果まで書くといいでしょう。

先述の例えではヒューズを交換することは処置で、真因を追求して再発防止する具体案が対策です。トヨタでは対策と処置の違いを徹底的に教えます。

③ 要因解析(なぜなぜ解析)

A3の紙の右上に書くのが要因解析です。なぜなぜ解析と呼ばれるのは、「なぜ、不良品が出たか」などについて、5回以上、なぜを繰り返して、真因を追求するからです。つまり、問題解決のための切り口をすべて書きます。

最初の「なぜ」は現場へ行って観察することから始まります。そして、問題の起こっている場所を見つけます。起こっている場所がわかればそこに立って観察します。

例にある組み立てロボットの過電流の場合でしたら、現場で時間帯を切って様子を見ます。時間帯によって異常が見つかるかもしれません。他にロボットの内部に故障があると思ったら、今度は徹底的に調べます。ロボットの操作に問題があるかもしれない、ヒューマンエラーかもしれないと思ったら、作業の様子を調べます。

このようにできる限り多くの問題解決の切り口を考える。切り口が多ければ多いほど、視点が増えるわけですから真因を突き止めやすい。

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真因がわかれば結論は簡単に出る

先述のヒューズが飛んだ過電流でしたけれど、なぜを繰り返して、わかったことは過電流が朝一番で起こることでした。しかし、そこから真因の追求までには時間がかかりました。

ある新人エンジニアが朝一番からライン横に立ち、スタートする時から見ることにしました。さらに、ラインを担当していた作業者にインタビューをしたんです。そうしたら、彼女が「このロボットはおそらく寒がっているんだと思います」と言ったそうです。

ロボットが設置してある場所はドアの近くでとても気温が低かった。気温が低いとロボットのなかのオイルの粘着度が高まります。動かすには大きな力がいるから過電流が流れる……。そうやって、やっと真因をつかむことができたんです。

真因さえわかれば対策は出てきます。対策としてはドアをふさぐ、気温を上げるために空調からの温風が周辺にいきわたるようにするなどをやったそうです。すると、過電流はなくなり、ヒューズは飛ばなくなりました。

④ 対策立案

最後は、真因を見つけた後の対策です。対策立案にはドアをふさぐ、空調をいきわたらせるなどを書いて、経過と結果を書いて終わり。