ブッダが説いた「正命」という教え
ブッダは、苦しみを離れて幸福に生きる道標の一つに、「正命(サンマー・アージーヴァ)」という教えがあります。
正命とは、「正しい仕事」という意味です。私たちが生きるためには、何かしら仕事をする必要があります。
「正命」とは、人の迷惑になる仕事をせず、人の役に立つ仕事をすること。
人の役に立っていれば、その人はどんな不況になっても生き延びることができます。社会が放っておかないのです。お客さんに困ることがなく、働けば働くほど成果につながります。
「人の役に立って、正当な報酬を得ること」
「自分の務めをきちんと果たして、正当な報酬を得ること」
ブッダはそれを、大いに奨励したのです。
「働き方」よりも「いかに生きるか」
元気に働くためには、休みも必要です。けれども、「何日働いて、何日休むか」は、本質ではありません。
サンマー・アージーヴァ。この「アージーヴァ」は、日本語で仕事と訳されるのですが、その本義は、「どのように生きているか」です。
どんな目的に向かって、どのような目標を立て、どのように生きているか。
「経営」とは仏教の言葉です。
経営の「経」はお経の経。お経とは、真理が書かれた紙を束ねる縦糸のこと。
つまり経営とは、「真理(目的)の縦糸に、創意工夫の横糸を組み合わせて、長く、広く、丈夫で美しい織物を織る営み」のことです。
今、私たちが本当に見直すべきは、「働き方」だけではありません。
「経営」そのもの、「生き方」そのものを、考え直すべきではないでしょうか。