イタリアの魅力を堪能し、すっかりファンに
USASBEの一行が集合したのは市内にはある唯一の現代的ホテル「ホテル・ブラマンテ&スパ」。ここで開かれた歓迎夕食会でパゾットは流暢な英語であいさつした。
「ウルバーニアへようこそ。ここは小さな町ですけれども、歴史的にも文化的にもとても豊か。ワークショップに参加しつつ地域コミュニティーと交わり、イタリアを堪能してください」
パゾットが「地域コミュニティー」と言ったのには訳があった。地域の人々と触れ合いながらイタリア文化を学ぶさまざまなアクティビティが研修プログラムに組み込まれていたのである。
イタリア語会話、陶芸体験、絵付け教室、パスタ手作り、アグリツーリズム、世界遺産訪問、プロシュート工場視察、パルメザンチーズ工場視察――。現地で配られたスケジュール表は予定でぎっしり埋まっていた。
私はルーラル起業のワークショップには基本的に参加しなかったものの、それ以外ではUSASBE一行と行動を共にした。チェントロのイタリア語クラスで学んだ片言のイタリア語を生かし、地域コミュニティーと接しているうちに、すっかりイタリアファンになっていた。大都会ではこうはならないだろうな、と思った。
3Kとは縁遠い、アトツギ農家たち
例えばアグリツーリズム。USASBE一行は市の中心部から徒歩圏のレストラン「カサティントリア」に足を運んだ。とはいっても集合場所は屋内ではなく屋外。そこは深い森に囲まれ、一角には小さな農場があった。
夕食前のチーズ試食会とワイン試飲会は盛り上がった。テーブル上にきれいに並べられたチーズとワインはすべて地元産。そこに数人の生産者が現れて次々にスピーチし、目を輝かせながら誇らしげに家業の歴史を語った。代々続く家業を継いでグローバル展開を狙うアトツギベンチャーなのだ。