老後はどこに住むのがいいのか。経済評論家の佐藤治彦さんは「車がなくては何もできないような田舎に住んではいけない。むしろ50歳前後には生活の拠点を都市部に移しておいたほうがいい」という――。

※本稿は、佐藤治彦『おひとりさまが知って得する、お金の貯め方・増やし方』(ぱる出版)の一部を再編集したものです。

野原を見ている老夫婦
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住宅は買うべきか、借りるべきかの結論

幸せなおひとりさまのために、必要なことは、お金で困っていない。できれば余裕があることだと思います。お金は入ってくるものと出ていくものがある。そして、出ていくもので、人生最大のものが住宅に関するものです。

日本の場合、これは持ち家でも賃貸でも、手取りの3割くらいを住宅に使う人が多いです。使ってない人の多くは、親の家、昔なら社宅といった具合に、誰かが負担してくれているので、その支出がない人たちです。

もしくは、3割以下の人は、相当稼いでいる人です。日本人の多くは、毎日の買い物などでの節約に力を注ぐ人はとても多くいるのですが、人生における最大の支出が住まいに関するものである限り、住宅に関することで失敗したら、他でどんなに節約してもほぼ取り返しがつきません。

住宅に加えて、生命保険などの保険に関するもの、自家用車などの支出もとても大切です。ですから、十分すぎるほど考えたいことは、住まいに関することなのです。

それでは、多くの人が悩むことから考えていきましょう。住宅は買うべきか、借りるべきか。

30年後のことを考えているか

かつて歳を過ぎて独身で働いている女性たちの多くが小ぶりのマンションを買いました。一生家賃を払っていくのは損だ。30歳まで節約して働いて手元に1000万円ほど貯まった。それを頭金にして、マンションを買って、これで生涯にわたって住宅の心配はないと考えたのです。

本当でしょうか?

まずに申し上げたいのは、賃貸なら要らない費用がマイホームには必要だと言うことです。

固定資産税、火災保険料、地震保険料、リフォーム代、マンションなら修繕積立金、管理費といったものです。これらは生涯ついて回ります。

特に考えてもらいたいのがリフォーム代です。マンションに住んでいる。一軒家に住んでいる。30年後、その水回りを使いますか? トイレはどうですか? フローリングはどうなっているでしょう? 壁紙も汚れますよね?

もしも、30年後の最新の快適な設備とともに人生を歩みたかったらお金が必要なのです。マイホームだからといって決して住宅周りのお金がかからないとは思わないでください。