資産が不動産だけという危うさ

私が持ち家をあまりオススメしない理由はいろいろとあるのですが、特に大切なことは、大部分の人にとっての財産が住宅メインになってしまうことです。

自分は1億円の資産を持っている。そのうち、住宅が8000万円、生命保険が1000万円、貯蓄が1000万円だ。これではあまりにもいびつです。

それに住宅の価値は本当に8000万円あるのかどうかはわかりません。自分でそう思っている、いや、願っているだけです。

換金が必要になって売却に出し、その時に買ってくれる人が決めるのです。そして、手元に残るのは多額の税金や仲介業者への手数料を差し引いた残りなのです。

年齢を重ねて、介護付き老人ホームに入るのにお金がいる。急にお金が必要だと、不動産を短期の間に現金化しようとすればするほど、買い叩かれることが多いものです。

実際に売ってみないといくらの市場価値があるのかわからないもの。また、災害や火事など思わぬ理由で価値が半減することもありうるのが持ち家なのです。

これが、株式や投資信託、預金などで1億円の資産がある。そして、不動産も8000万円の価値があるものを所有しているというのであれば、まだバランスが取れているのですが、今や退職金で住宅ローンの残金を払うなんて人もザラにいるのが実態です。

いざという時に動かせる、そして老後を支えていくための現金やすぐに現金化できる金融商品で資産を作っている人が少ないのが気がかりです。

車が必須の田舎に住んではいけない

住宅の問題といえば、持ち家か賃貸か。そればかりが毎回取り上げられます。

それは確かに重要なのですが、それと同じくらい大切なのが、どこに住むかということです。

これは、おひとりさまでなくても重要なのですが、特におひとりさま生活をしていくとなるともっと重要です。それは都市部に住むか地方に住むかということです。

もっと突き詰めてお話しすると、地方でも地方都市に住むのか、自然に囲まれた地域に住むのかということです。

結論から申し上げると、たとえ地方に住むにしても、都市部に住むべきです。言い換えると、自家用車に頼らなくても、そこそこの交通アクセスがある。買い物ができる。役所や病院に行ける。そういうところに住むことがとても大切です。

つまり、できるだけ人の集まっているところに住む。人が多く住んでいるところには、税金を使ってさまざまなインフラ対策もしてくれるものだからです。

これは国の政策であるコンパクトシティにも合致した考え方です。年老いた人たちの交通事故が絶えません。高速道路を逆走する。ブレーキとアクセルを踏み間違えて、建物に突進する。それで、他人の命を奪ってしまうことさえあるのです。

シニアドライバー
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さらに、経済的にも自家用車はメリットが少ない。ガソリン、税金、車検などのメンテナンス、都市部なら駐車場代、自動車保険、もちろん自動車本体の価格。費用もバカになりません。

50歳を過ぎたら自家用車で移動するよりも、自分の足で移動していく方が健康のためにもいいはずです。つまり、年老いた時に自家用車がなくては何もできない、そんなところに住んではいけません。