助けたいなら心配しているだけではいけない
助けたいと思えば、もちろん「見て見ぬふりをする人」になってはいけません。皆で飲みに行って、それが話題に出たときにだけ、「あれはどうかと思うなぁ」と言っているだけの人たちも、何ら役に立っていません。そんな人たちが何十人いても、泣き顔の社員は救われないでしょう。
ここは、あなたがコミュニケーション能力を発揮するところです。
会社から帰宅する前に、30代の女性社員と18歳の新入社員のところへ立ち寄って、「残業が多くてたいへんですね~」と言ってみましょう。
できるだけ多くの人に聞こえるように話すのがコツです。「何やってるの毎日?」と言うだけでいいのです。
これは18歳の新入社員への「君が残業している(させられている)のを多くの人が知っているよ」というメッセージであり、30代の女性社員への「人使いが荒いねぇ。みんなそう思っているよ」というメッセージでもあります。
嫌味だと思われたらどうしようか? 気にすることはありません。あなたは新入社員を救うために話しているのです。そして、それを聞いている人の中には、なぜあなたがそう話しているのかを悟ってくれる人もいるでしょう。
助けるためのメッセージは遠慮なく送る
もし、あなたが30代の女性社員に冗談を言える立場なら、その女性社員を指さしながら、新入社員に「こんな先輩じゃあ、仕切りがわるくて仕事が終わらないね」と笑いながら言ってみましょう。
できれば、そうしたメッセージを送る人が、2、3人出てくると、新入社員は、何人もの人が気にかけてくれていると感じます。また、30代の女性社員にも、特定の人だけが非難しているのではないとわかるでしょう。
もともとは、この人たちの上司がだらしなく、「新入社員に毎日残業させていたらダメだぞ。もっと要領よく仕事できないのか」と言えないところに問題があるのです。ですから、メッセージは遠慮なく送ったらいいのです。
こうした状況で、メッセージを送る人たちがいるのが、組織内にコミュニケーションがある状態、見て見ぬふりの人たちばかりなのが、それがない状態です。
どちらが好ましいかは、誰にでもわかるはずです。こんなコミュニケーションすら、誰も取らないところでは、状況は変わることがないのもわかるでしょう。